今回は、群数列の問題について解法パターンごとの解き方のコツと表を使った裏ワザ的解法について徹底解説していきます。群数列は、考え方自体はそれほど難しくはないものの、実際に問題を解こうとすると、第何群の何番目の項かを求める問題や、逆に第何群の何番目の項が第何項目なのかを求める問題のように、いろいろな数字が出てくるため頭が混乱しやすいという点で苦手な人が多い分野になっています。
そこで本記事では、群数列を解くために絶対に押さえておくべき解法のコツと、たくさん出てくる情報をうまく整理整頓するための裏ワザ的情報整理術について解説していきますので、ぜひ最後まで確認してみてください!
- 群数列の問題の解法パターンごとの解き方のコツを知りたい人
- 群数列を解く上で注目すべき情報とその情報をうまく整理整頓する方法を知りたい人
- 群数列の応用問題を解きたい人
- 受験対策・定期テスト対策したい人
【徹底解説】群数列のパターン別解法
まずは、以下の問題で群数列の基本的な問題パターンを確認していこう。
【例題】群数列の基本(難易度:★☆☆)
$$\small 1|11,12|21,22,23|31,32,33,34|\cdots$$
と表される群数列において、次の問いに答えよ。
(1)\(\small 64\)は第何群の何番目か。
(2)\(\small 64\)は第何項か。
(3)数列の第\(\small 100\)項の数を求めよ。
群数列の問題を解くときは、数列の規則性と群の項数の規則性の2点に着目する。
#数列の規則性
群ごとに見ると、第1群が1、第2群が11から1ずつ増加、第3群が21から1ずつ増加となっており、一般に、第\(\small n\)群は初項が\(\small 10(n-1)+1\)、公差が1の等差数列となっていることが分かる。
#群の項数の規則性
第1群が1項、第2群が2項、第3群が3項となっていることから、一般に第\(\small n\)群の項数は\(\small n\)項であることが分かる。
問題解決のKeyで考察した通り、第\(\small n\)群の初項は\(\small 10(n-1)+1=10n-9\)であり、64が属する群の先頭が61であることから、
\begin{split}
&\small 10n-9=61\\
& \small ∴ \quad n=7\\
\end{split}
よって、第7群の4番目…【答】。
●別解
感覚的には、群の規則性として、各群の数字の十の位に着目すると、「十の位+1」が群の値(例えば31,32,33,34の群であれば、十の位の「3」に1を足した\(\small 3+1=4\)から第4群と分かります。
この規則性から、64は十の位が6なので第7群に属することが分かります。
最後に、第7群は、「61,62,63,64,…」という数列なので、4番目ということが分かります(1の位が何番目を表している)。
今回問われているのは、64(第7群の4番目)が数列の先頭から何項目かである。
群数列において第何項目かを求める方法は以下の通りである。
・第\(\small n\)群の\(\small k\)番目の場合、
『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』で求める。
第7群の4番目であることから、先頭からの項数は、第6群までの項数和+4で計算できる。

第\(\small n\)群の項数が\(\small n\)項であることから、第6群までの項数和は
\begin{split}
&\small 1+2+3+4+5+6 \\
&\small =\frac{1}{2}\times 6 \times 7 \quad \cdots [*1]\\
&\small =21\\
\end{split}
より、21+4=25項目…【答】と求まる。
\(\small *1\):等差数列の和
(等差数列の和)=\(\small \displaystyle \frac{1}{2}\)×(項数)×(初項+末項)
第100項の数を求めるには、まず、第100項目が第何群の何番目かを特定する。
『【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】 < 【第\(\small k\)項目】 < 【第\(\small n\)群までの項数和】』
を満たす\(\small n\)を求める。
・第\(\small n\)群の何番目かを特定する。
まず、第何群目にあるかを求めていこう。
第100項目が属する群を第\(\small n\)群とすると、『第\(\small (n-1)\)群までの項数和<第100項<第\(\small n\)群までの項数和』を満たす。

どういうことかというと、第\(\small n-1\)群の末項(\(\small a_{n-1}\))が先頭から何番目の項であるかは、第1群~第\(\small n-1\)群までの項数の総和で求まる。
たとえば、第2群の末項(\(\small a_3\))は先頭から3番目の項だが、これは、第1群の項数1個と第2群の項数2個の総和 \(\small 1+2=3\)として求まるという感じ。冷静に考えれば、項数というのは項の個数のことなので、第\(\small n-1\)群の末項が、第1群~第\(\small n-1\)群までの項数の個数の和になるのは当たり前ですね。
よって、第1群~第\(\small n-1\)群までの項数の総和は第\(\small j\)群(\(\small j=1,2,\cdots ,n-1\))には項数が\(\small j\)項あることから、
\begin{split}
\small \displaystyle \sum_{j=1}^{n-1} j =\frac{1}{2}(n-1)n
\end{split}
同様に考えると、第\(\small n\)群の末項が先頭から何番目の項であるかは、第1群~第\(\small n\)群までの項数の総和なので
\begin{split}
\small \displaystyle \sum_{j=1}^{n} j =\frac{1}{2}n(n+1)
\end{split}
よって、第100項目が属する群は、
\begin{split}
\small \frac{1}{2}n(n-1) &\small <100<\frac{1}{2}n(n+1)\\
\small ∴ \space n(n-1) &\small <200<n(n+1) \space \cdots ①\\
\end{split}
を満たす。①の不等式を真面目に解いてもよいが、\(\small n\)は自然数なので(第100項目が属する群なので)、適当に値を代入して①の不等式を満たす\(\small n\)を探し当てればOK。
\(\small n(n-1)≒n^2\)なので、\(\small n^2<200\)を満たす\(\small n\)を考えると、\(\small n<10\sqrt{2}≒14\)なので、例えば、\(\small n=13\)を①に代入してみると、
\begin{split}
\small 13 \times 12 &\small <200<13\times14 \\
\small \Leftrightarrow \space 156 &\small < 200 < 182 \space →\mathbf{\color{red}{不適}}\\
\end{split}
となり、不等式を満たさないので不適。
では、\(\small n=14\)を①に代入してみると、
\begin{split}
\small 14 \times 13 &\small <200<14\times15 \\
\small \Leftrightarrow \space 182 &\small < 200 < 210 \space →\mathbf{\color{green}{成立}}\\
\end{split}
となり、不等式を満たす。
よって、第100項目が属する群は第14群であることが分かった。
あとは、第\(\small n\)群\(\small k\)番目の項に対して、『【第何項目か】=【\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』の関係式が成り立つことから、今回であれば、『第100項目=第13群までの項数和+\(\small k\)』とおけるので、
\begin{split}
\small 100 &\small =\sum_{j=1}^{13} j+k\\
\small \Leftrightarrow \space 100 &\small =\frac{1}{2}\times 13 \times 14 +k\\
\small \Leftrightarrow \space 100 &\small =91+k\\
\small \Leftrightarrow \space k &\small =9\\
\end{split}
よって、第100項目は第14群の9番目と分かる。
あとは、その値を求めていけばよいが、第14群の初項の値は131(\(\small 10n-9\)に\(\small n=14\)を代入)なので、9番目は139…【答】と求まる。
【講義1】群数列の典型問題パターン2選
例題を改めて確認してみると、群数列の問題パターンは2種類に分類することができます。
「数列の値」→「第\(\small n\)群\(\small k\)番目」→「第\(\small m\)項目」
パターン②:項数から数列の値を求める問題
「第\(\small m\)項目」→「第\(\small n\)群\(\small k\)番目」→「数列の値」
例題でいうと、(1)、(2)がパターン1、(3)がパターン2の問題になっています。群数列が解けるかどうかは、本質的には、この2パターンがマスターできるかどうかといっても過言ではないでしょう。
また、値から項、または項から値を求めるときには必ず第何群の何番目かを求める必要があることも分かります。すなわち、群数列の問題は、求める項が第何群の何番目にあるかを把握する問題ということもできます。
【パターン①】数列の値から項数を求める問題
パターン1は、数列の値からその値が第何項なのかを求める問題です。そのためには、まず数列の値が属する群と群の何番目なのか、つまり、第\(\small n\)群\(\small k\)番目にあるということを特定します。特定自体は、群数列の規則性を把握できてれば簡単にわかることが多いです。そこから、第何項目かは、『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』にあてはめれば求められます。
【パターン②】項数から数列の値を求める問題
これは、パターン1の逆の手順になります。項数から求める値が第何群に属しているのかを特定する必要がありますが、その際に『【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】 < 【第\(\small k\)項目】 < 【第\(\small n\)群までの項数和】』の不等式を満たす\(\small n\)を求めます。
その後は、『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』の関係式から\(\small k\)を求めることで群と群の何番目かを求めることができます。
属する群と群の何番目かが分かってしまえば、あとは群の規則性から値を求めればOKです。
●補足
論証するうえでは、『【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】 < 【第\(\small k\)項目】 < 【第\(\small n\)群までの項数和】』の不等式を使って値が属する群を特定するのがよいのですが、実はこの不等式は使わなくても『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』の関係式だけで\(\small n\)と\(\small k\)を求めることが可能です。
例として例題の(3)であれば、(第\(\small n-1\)群までの項数和)\(\small \displaystyle = \frac{1}{2}n(n-1)\)であることから、
$$\small \displaystyle 100 = \frac{1}{2}n(n-1)+k$$
という不定方程式を解けばよく、100を超えないような最大の\(\small n\)を適当に代入しながら見つければ、\(\small n\)と\(\small k\)を特定することができます。
【講義2】群数列がややこしい理由
等差数列や等比数列に比べて群数列が難しい、ややこしいと感じてしまう理由はなぜでしょうか?
人それぞれ躓きポイントはあると思いますが、多くの人に共通するのは、やはり一般項が表せないからではないでしょうか。
たとえば、数列\(\small \{a_n\}\)が\(\small 2,4,6,8,\cdots\)という等差数列について、『64は第何項か』を求める問題であれば、
\(\small a_n=2n\)
↓
\(\small 2n=64\)
↓
\(\small n=32\)
で求められます。
また、『第100項目の数を求めよ』であれば、\(\small n=100\)として、\(\small a_{100}=200\)、終了!、と一瞬で求められますね。
一方で、群数列は一般項を数式で表せないことがほとんどです。理由はシンプルで、群単位での規則性しかないからです。

例題の場合であれば、第\(\small n\)群\(\small k\)番目の一般項を数式化はできませんが、第\(\small n\)群の中身の数列に注目すると、初項\(\small 10n-9\)、公差1の等差数列の第\(\small k\)項目と考えることができるので、等差数列の一般項の公式から
\begin{split}
\small(n群のk番目)&\small = (初項)+(k-1)\times (公差)\\
& \small = (10n-9)+(k-1)\times 1\\
& \small=10(n-1)+k\\
\end{split}
のように第何群の何番目かという情報が分かれば求めることができます。実際に、第3群の2番目の数字は、\(\small n=3、k=2\)を代入することで、\(\small 22\)とすぐに計算できます。
・数列の値を求める問題では、群単位の規則性に着目しよう。
【講義3】群数列の裏ワザ的解法
ここまで群数列の問題パターンと難しさについて説明してきましたが、「結局どうやって解くんすか?」という疑問にお答えします。
ズバリ…
表で解け
これが答えです。

慣れないうちは、上記のような表をかいて埋めていく方法がおすすめです。表をかくメリットは
- 何を求めないといけないのか混乱するのを防げる
- 数列の和と項数の和のように、似たものと間違えてしまうのを防げる
- 情報が整理されることで考えやすくなる
- 求めるものが明確になり素早く解ける
などがあります。
では具体的な表のかき方について説明します。
まずは、枠をかいて群、項数、\(\small n\)群までの項数和、\(\small k\)番目が何項目か、\(\small k\)番目の値の欄を作ります。
次に、第1群、第2群くらいに対して、項数、\(\small n\)群までの項数和を具体的に埋めていきます。項数の欄には第\(\small n\)群にある項の数を、\(\small n\)群までの項数和の欄には第1群から第\(\small n\)群までの項数の合計をかいていきます。このときに、埋めながら傾向を掴むのがおすすめです。
最後に、第\(\small n\)群の情報を以下の手順で埋めていきます。
数列をあるルールに基づいて区切ったものが群数列なので、群数列には群単位で項数の規則性があります。その規則性を\(\small n\)を用いて数式化しましょう。実は第\(\small n\)群の項数が分かれば、残りの項目も簡単に埋められます。
STEP1で求めた項数の式を、第1群~第\(\small n\)群まで足し算すればOKです。足し算は、
$$\small \sum_{j=1}^n (n\mathsf{群の項数の式})$$
で機械的に計算できます。
『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』の関係式で求めていきます。第\(\small n-1\)群までの項数和は、STEP2で求めた\(\small n\)群までの項数和で、\(\small n\) → \(\small n-1\)に置き換えるだけで簡単に求められます。
群単位での数列の規則性から第\(\small n\)群の\(\small k\)番目の項の値を\(\small n\)と\(\small k\)を使って表します。
実際に例題の場合で表を埋めてみるとこんな感じになります。
#例題の場合の具体例
この表が作れれば、あとは典型問題2パターンの問題は簡単に解くことができます。具体的にどのくらい簡単に解けるのかは、このあとの問題演習で確認していきましょう。
表の中でも特に重要なのが、「\(\small k\)番目が第何項目か」と「\(\small k\)番目の値」です。群数列の問題ではこの2つの値から第\(\small n\)群、\(\small k\)番目を求めることがポイントになります。
【実践問題】群数列の問題
【問題1】群単位で規則性がある問題(難易度:★☆☆)
数列 \(\small \displaystyle \frac{1}{1}, \frac{1}{2},\frac{2}{2},\frac{1}{3},\frac{2}{3},\frac{3}{3},\cdots\)について
(1) \(\small \displaystyle \frac{99}{100}\)という値が初めて現れるのは第何項か。
(2) 第\(\small 2005\)項の値を求めよ。
[改 群馬大]
講義3で解説した表を利用した解法で解説する。
まずは、問題文に第1群~第3群まで例として記載されているので、具体的に表の項目を埋めていこう。

次に、第\(\small n\)群の情報を埋めていく。

#第\(\small n\)群の項数と項数和
項数は\(\small n\)個、\(\small n\)群までの項数和は、
\begin{split}
\small \sum_{j=1}^n j &\small =1+2+\cdots + n\\
&\small =\frac{1}{2}n(n+1) \cdots①\\
\end{split}
#\(\small n\)群の\(\small k\)番目が何項目か
\(\small n\)群の\(\small k\)番目が先頭から第何項目になるかは、図を書けば分かりやすい。

この図を見ると、第\(\small n-1\)群までの項数和に\(\small k\)個の項を足せば求まることが分かるだろう。第\(\small n-1\)群までの項数和は、①の\(\small n\)を\(\small n-1\)に置き換えてあげればよいので、
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)+k \\
\end{split}
#第\(\small n\)群の\(\small k\)番目の値
分母と分子に分けて考えよう。分子は1から1ずつ増えている(初項1、公差1の等差数列)ので\(\small k\)番目は\(\small k\)。分母は第1群が1、第2群が2、第3群が3であることから、第\(\small n\)群は\(\small n\)。よって、第\(\small n\)群\(\small k\)番目の値は、\(\small \displaystyle \frac{k}{n}\)。
以上より、完成系の表は以下の通り。

この表ができてしまえばあとは簡単。
(1)の問題は、値が\(\small \displaystyle \frac{99}{100}\)になるのが第何項目かを求めればよいので、
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{k}{n}=\frac{99}{100}\\
\end{split}
より、\(\small n=100\)、\(\small k=99\)(第100群99番目)と求まる。
これを表中の『\(\small k\)番目が何項目か』に代入すればよいので、
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)+k &\small =\frac{1}{2}\times 100\times 99+99\\
&\small = \color{red}{5049 \space \cdots【答】}\\
\end{split}
項数から数列の値を求める問題(典型パターン②)。表中の『\(\small k\)番目が何項目か』=2005になるので、
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)+k=2005\\
\end{split}
\(\small n=63\)を上式に代入すると \(\small [*1]\)
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{1}{2}\cdot 63 \cdot 62 +k &\small =2005\\
\small \displaystyle 1953 +k & \small =2005\\
\small \displaystyle ∴ \space k& \small =52\\
\end{split}
よって、関係式を満たす\(\small n、k\)は、\(\small n=63\)、\(\small k=52\)なので、表中の『\(\small k\)番目の値』の式から、求める数列の値は \(\small \displaystyle \frac{52}{63}\)…【答】。
\(\small *1\):\(\small n\)の値の探し方
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)+k=2005\\
\end{split}
の不定方程式の解き方は、両辺を2倍して分数を払うと
\begin{split}
\small \displaystyle 4010 &\small = n(n-1)+2k\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle 4010 &\small > n(n-1)\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle 4010 &\small > (n-1)^2\\
\end{split}
(最後の不等式は、\(\small n>n-1\)を用いた)なので、だいたい
\begin{split}
\small \displaystyle (n-1)^2 &\small \space <4000\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle n-1 &\small \space <20\sqrt{10}≒63\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle n &\small <64\\
\end{split}
みたいにあたりを付けておくと探しやすいです。ちなみに、\(\small \sqrt{10}≒3.16\)は債務(サイム)と覚えておくと便利です。
【問題2】群単位で規則性がある問題②(難易度:★★☆)
規約分数の数列 \(\small \displaystyle \frac{1}{2}, \frac{1}{4},\frac{3}{4},\frac{1}{8},\frac{3}{8},\frac{5}{8},\frac{7}{8}, \frac{1}{16} \cdots\)がある。
(1) \(\small \displaystyle \frac{33}{256}\)は最初から何番目の項か。
(2) 最初から\(\small 1000\)番目の項は何か。
(3) 初項から\(\small 1000\)番目の項までの和\(\small S\)を求めよ。
[改 岩手大]
群ごとの項数の規則性と数列の規則性に着目しよう。

#項数と項数和
群単位の項数の規則性は、\(\small 1(=2^0)、2(=2^1)、4(=2^2)、\)…と増えているので、第\(\small n\)群の項数は、\(\small 2^{n-1}\)と分かる。すると、第\(\small n\)群までの項数和は機械的に、
\begin{split}
\small \sum_{j=1}^n 2^{j-1} &\small =\frac{1\cdot (2^{n}-1)}{2-1}\\
&\small =2^{n}-1\\
\end{split}
●補足:等比数列の和
初項\(\small a\)、公比\(\small r\)、項数\(\small n\)の等比数列の和は
$$\color{#ef5350}{\small \frac{a(r^n-1)}{r-1}}$$
#\(\small k\)番目が何項目か
『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』の関係式より
\begin{split}
&\small (2^{\color{#ef5350}{n-1}}-1)+k\\
&\small \quad = 2^{n-1}-1+k \quad \cdots ①\\
\end{split}
#第\(\small n\)群の\(\small k\)番目の項の値
分母は\(\small 2^n\)、分子は初項1、公差2の等差数列(奇数列)になっているので、\(\small k\)番目の項は\(\small 2k-1\)。よって、\(\small \displaystyle \frac{2k-1}{2^n}\quad \cdots ②\)。
では、必要な情報が揃ったので問題に入っていく。(1)は数列の値から項数を求める問題(典型パターン①)。\(\small \displaystyle \frac{33}{256}\)がまず第何群の何番目かを②から求めると、
\begin{split}
&\small \frac{2k-1}{2^n}= \frac{33}{256}\\
&\small \frac{2k-1}{2^n}= \frac{33}{2^8}\\
\end{split}
\begin{cases}
\small 2k-1 = 33\\
\small 2^n = 2^8\\
\end{cases}
より、\(\small n=8\)、\(\small k=17\)。
よって、①より、\(\small 2^{n-1}-1+k = 2^{7}-1+17=\color{red}{144}\)番目の項…【答】。
第1000項目の値を求める問題(典型パターン②の項数から数列の値を求める問題)。(1)の①から
\begin{split}
&\small 2^{n-1}-1+k =1000 \\
\end{split}
を満たす\(\small n、k\)を特定する。
●補足:\(\small n、k\)の特定(論証には不要)
\begin{split}
\small 2^{n-1}-1+k &\small =1000\\
\small \Leftrightarrow \space 2^{n-1} &\small <1000\\
\end{split}
より、\(\small 2^9=512\)、\(\small 2^{10}=1024\)なので、上記の不等号が成り立つには、\(\small n-1=9\) ⇔ \(\small n=10\)。
これを試しに、①に代入してみると
\begin{split}
\small 2^{9}-1+k &\small =1000\\
\small \Leftrightarrow \quad k &\small =489\\
\end{split}
よって、\(\small n=10、k=489\)(第10群の489番目の項)であることが分かったので、②に代入することで、
\begin{split}
\small \frac{2k-1}{2^n} = \color{red}{\frac{977}{1024}\space \cdots 【答】}\\
\end{split}
【初項から1000番目の項までの和】=【第1群から第9群までの和】+【第10群の1番目から489番目までの和】に分解して考える。

※ちなみに、(1)で求めた項数和は項の個数の合計なので、今回求める数列の値の合計とは別モノなので注意(意外と混乱しますよね…(・・;))。
[1] 第1群から第9群までの和
第\(\small j\)群の値の和をまずは求める。
第\(\small j\)群の\(\small k\)番目の項を\(\small a_k\)とすると、②より
\begin{split}
\small a_k = \frac{2k-1}{2^j}\\
\end{split}
第\(\small j\)群の中身を具体的に書いてみると下図のようになる。

表から、第\(\small j\)群の項数\(\small 2^{j-1}\)個なので、第\(\small j\)群の値の総和\(\small S_j\)は、
\begin{split}
\small \displaystyle S_j &\small =\frac{1}{2^j}+\frac{3}{2^j}+\cdots+\frac{2^j-1}{2^j}\\
&\small =\frac{1+3+\cdots+2^j-1}{2^j}\\
&\small =\frac{\dfrac{1}{2}\times 2^{j-1}\times (1+(2^j-1))}{2^j} \quad \cdots [*1]\\
&\small =\frac{2^j}{4}\\
&\small =2^{j-2}\\
\end{split}
\(\small *1\):分子の和の計算
等差数列の和は一般に
$$\small \frac{1}{2}\times (\mathbf{項数}) \times (\mathbf{初項}+\mathbf{末項})$$
で求められる。今回は分子が初項1、公差2の等差数列(奇数列)であり、項数が\(\small 2^{j-1}\)個、末項は一般項\(\small 2k-1\)に\(\small k=2^{j-1}\)を代入した\(\small 2^j-1\)を代入することで計算できる。
●補足:第\(\small j\)群の和の求め方(別解)
\(\small a_k\)を\(\small k=1\)から\(\small k=2^{j-1}\)まで足し算すればよいので、
\begin{split}
\small S_j &\small = \sum_{k=1}^{2^{j-1}} a_k\\
&\small= \sum_{k=1}^{2^{j-1}} \frac{2k-1}{2^j}\\
&\small= \frac{1}{2^j}\left[2 \sum_{k=1}^{2^{j-1}} k-\sum_{k=1}^{2^{j-1}} 1\right]\\
&\small= \frac{1}{2^j}\left[2 \cdot \frac{1}{2}\cdot 2^{j-1}(2^{j-1}+1)-2^{j-1}\right]\\
&\small= \frac{1}{2^j}\left[2^{j-1}\cdot 2^{j-1}+2^{j-1}-2^{j-1}\right]\\
&\small= 2^{j-2}\\
\end{split}
※途中式の変形は\(\small 2^{j-1}=n\)とおいてあげると分かりやすくなる
第\(\small j\)群の和が\(\small S_j = 2^{j-2}\)と求まったので、第1群から9群までの和は、
\begin{split}
\small \sum_{k=1}^{9} S_j &\small =\sum_{k=1}^{9} 2^{j-2} \\
&\small =\frac{\dfrac{1}{2}(2^9-1)}{2-1} \\
&\small =\frac{511}{2} \space \cdots ③\\
\end{split}
[2] 第10群の1番目から489番目までの和
初項が\(\small \displaystyle \frac{1}{1024}\)、末項は(2)で求めた\(\small \displaystyle \frac{977}{1024}\)、項数は489より、求める和は
\begin{split}
&\small \frac{1}{2}\times 489 \times \left(\frac{1}{1024}+\frac{977}{1024}\right)\\
&\small \quad = \frac{239121}{1024} \space \cdots ④
\end{split}
●補足
別解として、こちらも同様にシグマを使って計算する場合は、第10群\(\small k\)番目の項の値は、表から\(\small \displaystyle \frac{2k-1}{1024}\)と分かるので
\begin{split}
\small \sum_{k=1}^{489} \frac{2k-1}{1024} =\frac{1}{1024}\sum_{k=1}^{489} (2k-1)\\
\end{split}
を計算してあげればよい。
以上より、求める和は、③+④なので、
\begin{split}
\small \frac{511}{2}+\frac{239121}{1024} =\color{red}{\frac{500753}{1024}\space \cdots【答】}\\
\end{split}
最後の計算はかなり鬼畜仕様…。あっているのか不安になりますね(^^;)。
【問題3】図形と群数列(難易度:★★☆)
表のように、奇数を順々に並べていく。

(1) \(\small n\)行目の左端の数を\(\small n\)の式で表せ。
(2) 999は何行目の左から何番目にあるか。
(3) 999が含まれる行にある数の総和を求めよ。
[改 東京理科大]
各行を群とみなすと群数列の問題に帰着できる。

#表を埋める Φ(・・)
各行を1行目から順に1群、2群、…とすると、ピラミッド型の奇数列は以下のような群数列と考えることができる。
$$\small 1 | 3,5 | 7,9,11| \cdots$$
第\(\small n\)群の項数は\(\small n\)個(項数の規則性)なので、\(\small n\)群までの項数和は
\begin{split}
\small \sum_{j=1}^n j =\frac{1}{2}n(n+1)\\
\end{split}
\(\small k\)番目が何項目かは、『【第何項目か】=【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】』の関係式より、
\begin{split}
\small \displaystyle \frac{1}{2}n(n-1)+k \space \cdots ①\\
\end{split}
\(\small k\)番目の値について、並べている数は奇数なので、先頭から\(\small m\)番目の項は\(\small 2m -1\)と表せる。第\(\small n\)群の\(\small k\)番目の項の値が先頭から何番目かを表したのが①なので、第\(\small n\)群の\(\small k\)番目の項の値は、\(\small 2m-1\)に\(\small \displaystyle m=\frac{1}{2}n(n-1)+k\)を代入することで、
\begin{split}
\small 2m-1 &\small =\displaystyle 2\left(\frac{1}{2}n(n-1)+k \right)-1\\
&\small = n(n-1)+2k-1 \space \cdots ②\\
\end{split}
\(\small n\)行目の左端の値=第\(\small n\)群1番目の値なので、②の式で\(\small k=1\)を代入することで、
$$\small n(n-1)+2\cdot 1-1= \color{red}{n^2-n+1\quad \cdots 【答】}$$
999が第何群の何番目かを求める問題(典型パターン①:数列の値から項数を求める問題)。
●値探し(論証には記載不要)
②の式より、
\begin{split}
\small n(n-1)+2k-1 & \small =999\\
\small n(n-1)+2k & \small =1000\\
\small n(n-1)& \small <1000\\
\small (n-1)^2& \small <1000\\
\small n-1 & \small <10\sqrt{10}≒31.6\\
\small n & \small <32.6\\
\end{split}
上記の不等式を満たす最大の\(\small n\)は\(\small n=32\)なので、これを②に代入してみるのがよさそう。
\(\small n=32\)を②に代入すると、
\begin{split}
\small 32\times 31+2k-1 & \small =999\\
\small 992+2k & \small =1000\\
\small 2k & \small =8\\
\small k & \small =4\\
\end{split}
よって、第32群4番目になるので、32行目の左から4番目…【答】。
第32群の総和を求めればよい。数列自体は等差数列なので第32群の和も等差数列の和として求められる。
等差数列の和は一般的に、
$$\small \frac{1}{2}\times (\mathbf{項数}) \times (\mathbf{初項}+\mathbf{末項})$$
なので、第32群の項数は32個、初項は(1)に\(\small n=32\)を代入することで\(\small 993\)、末項は、表の\(\small k\)番目の値で\(\small k=32\)(末項=32番目)なので、
\begin{split}
&\small n(n-1)+2k-1 \\
&\small \quad = 32\cdot 31+2\cdot 32 -1\\
&\small \quad =1055\\
\end{split}
よって、第32群の総和は、
\begin{split}
&\small \displaystyle \frac{1}{2}\times 32 \times (993+1055)\\
&\small =\color{red}{32768\quad \cdots 【答】}\\
\end{split}
本記事のまとめ
今回は群数列について、典型問題2パターンと解き方のコツを徹底解説していきました。最後に、本記事の重要ポイントを整理しておきましょう!
☆重要Point☆
#群数列の問題パターン
・『数列の値から項数を求める』、『項数から数列の値を求める』の2パターンがある。
・第何群の何番目か(\(\small n、k\)の値)を求めればよい。
#裏技的解き方の極意
・表で解け!
#重要な関係式
・【第何項目か】=【第\(\small (n−1)\)群までの項数和】+【\(\small k\)】
・【第\(\small (n-1)\)群までの項数和】 < 【第\(\small k\)項目】 < 【第\(\small n\)群までの項数和】
※論証で使う
・(等差数列の和)=\(\small \displaystyle \frac{1}{2}\)×(項数)×(初項+末項)
群数列については、ゆっくり雑談で超難問も解説していますので、群数列に自信あり!という方はぜひ挑戦してみてください!
本日はここまでです。お疲れさまでした!
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