今回は、三角比の拡張として、0°~90°を超えた角度について三角比をどう求めるかを解説していきます(ちなみに、今回扱う問題は三角比を含む方程式のため、三角方程式と呼ばれます)。「単位円の書き方が分からない」、「sin、cos、tanが単位円のどの部分なのか分からない」という悩みに対してsin、cos、tanのそれぞれのパターンごとに三角比の求め方を解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください!
1.三角方程式の解法
突然ですが、以下の問題を解けますか?
\(\small -\pi ≦ \theta ≦ \pi\)のとき、\(\small \sin \theta = -\frac{1}{2}\)を解け。
「\(\small \theta = \frac{7}{6}\pi、\frac{11}{6}\pi \)が答え!…」と思った人は要注意!三角方程式の解き方を完全には理解できてないかもしれません。
この問題の正しい答えは、\(\small \theta = -\frac{5}{6}\pi、-\frac{\pi}{6} \)…(答)になります。
今回は、単位円を利用した三角方程式の問題と解法をsin、cos、tanにパターンに分けて解説していきます!冒頭の問題が解けなかった人もどうやったら正解にたどり着けるのかをステップごとに丁寧に解説しているので、ぜひ一緒に見ていきましょう!また、「解けた!」という人は実力チェックもかねて他のパターンもしっかり解けるか確認していきましょう!
1.1 単位円の使い方
三角方程式の問題を解くにあたって一番重要なのは、いうまでもなく単位円の使い方です。なので、まず初めに単位円の使い方について解説していきます。
なお、問題を解くときの思考回路が分かりやすいように、私が問題を解くときに考えていることをそのまま書くので、数学的な正確性は若干無視されますがご了承ください。。。
まず、「なんで単位円なんか使うの?」という疑問ですが、理由は単純にわかりやすいからです。私は、\(\small \sin\theta=-\frac{1}{2}\)と言われても、\(\small \theta\)が何度か覚えてないので、さっぱりイメージがわきません。なので、単位円を描いてイメージを付けています。
では、皆さんはどんなふうに単位円をかきますか?ここでは、「私の場合はこうだよ」というのを紹介します。単位円の書き方は簡単に言うと以下の3STEPです。
■単位円の書き方
・STEP1:解の位置を特定
・STEP2:三角形を特定
・STEP3:角度を求める
次章で詳しく解説していきます!
1.2 単位円を使った解法3ステップ
では単位円を使った解法3ステップについて、さきほどの例題1を例に説明していきます!



角度を求める際には以下の図を描きましょう。


単位円の角度には、+と-があり、反時計回りは+、時計回りは-と決まっているので、注意しましょう。
よって、青色の角度は、\(\small -\frac{\pi}{6}\)です。緑色の角度はいろいろな求め方があります。下の図のように、一旦、\(\small -\pi\)(青色)まで進んでから、\(\small +\frac{\pi}{6}\)戻る(黄色)と緑色の角度になることが分かるので、\(\small -\pi+\frac{\pi}{6}=-\frac{5}{6}\pi\)です。戻ったりするのが面倒…ということであれば、シンプルに一旦プラスマイナスのことは忘れて180°から30°引いた150°が緑の角度だからラジアンにすると\(\frac{5}{6}\pi\)で、あとは、0°から時計回りに進んでるので「-」つけて\(-\frac{5}{6}\pi\)だな、で全然okです。

\(\small \theta = -\frac{5}{6}\pi、-\frac{\pi}{6}\space \cdots\)(答)
1.3 三角方程式-サイン編
\(\small 0 ≦ \theta < 2\pi\)のとき、\(\small \sin \theta = -\frac{1}{2}\)を解け。
例題1と解くべき式は同じですが、角度の範囲が異なっています。\(\small \sin \theta = -\frac{1}{2}\)の位置と三角形を特定するところまでは、例題1と同じなので割愛します。


角度を求めるときは、下の図のようにきりの良い角度(\(\small \pi、2\pi\))から足し引きして考えると求めやすいです。青の角度は\(\small \theta= \pi+\frac{\pi}{6}=\frac{7}{6}\pi\)、緑の角度は、オレンジ色の角度を考えて、\(\small \theta=2\pi-\frac{\pi}{6}=\frac{11}{6}\pi\)とするとわかりやすいです。
ちょっと小難しいことを言うと、補足でも書きましたが、時計回りは-、反時計回りは+の角度となるので、緑色の角度を求めるときには、反時計回りに\(\small 2\pi\)進んだ後に、時計回りに\(\small -\frac{\pi}{6}\)進むと考えるとよいです。図にマイナスをつけているのはそういう意味です。

\(\small \theta = \frac{7}{6}\pi、\frac{11}{6}\pi\space \cdots\)(答)
1.4 三角方程式-コサイン編
\(\small 0 ≦ \theta < 2\pi\)のとき、\(\small \cos \theta = \frac{1}{2}\)を解け。
今回はcosですので、x座標を見ることになりますが、解き方は同じなので、例題の解き方を参考に解いていきましょう。 まずは解の位置を特定しましょう。

続いて三角形を特定します。


よって、 \(\small \theta = \frac{\pi}{3}、\frac{5}{3}\pi\space \cdots\)(答)
1.5 三角方程式-タンジェント編
\(\small 0 ≦ \theta < 2\pi\)のとき、\(\small \tan \theta +\sqrt{3}= 0\)を解け。
tanを求める三角方程式はあまり登場しませんが、いざという時に解けないと困るので解説します。
最初に皆さん無意識にやっていると思いますが、式変形して、「三角比=数字」の形にしておきましょう。今回だと、
\(\small \tan \theta +\sqrt{3}= 0\)
\(\small \tan \theta = -\sqrt{3}\)。
まず、解の位置を特定しますが、sinはy座標、cosはx座標でしたが、tanはどう考えればいいでしょうか?ちょっと特殊で tanの場合は斜めに線を引きます。引き方は以下の図の通り。

前提として、tanの値は、三角形の横の辺分の縦の辺で求めることができます。また、三角比なので、あくまで比であることから、三角形を拡大or縮小しても角度が同じである限り三角比は変わりません。あとでこの知識を使うので覚えておいてください。





\(\small \theta = \pi-\frac{\pi}{3}=\frac{2}{3}\pi\)。
\(\small \theta = 2\pi-\frac{\pi}{3}=\frac{5}{3}\pi\)。
\(\small \theta = \frac{2}{3}\pi、\frac{5}{3}\pi\space \cdots\)(答)
2.三角方程式の練習問題
今回は、三角方程式の解き方をsin、cos、tanの場合で解説してきましたが、解き方は身についたでしょうか。最後に練習問題を解いて 終わりましょう。\(\small 0 ≦ \theta < 2\pi\)のとき、次の方程式を解け。
\(\small (1) \space \sin \theta = -\frac{\sqrt{2}}{2}\)
\(\small (2) \space 2\cos \theta +\sqrt{3}= 0\)
\(\small (3) \space \tan \theta =1\)
(1)\(\small -\frac{\sqrt{2}}{2}\)が見慣れない値をしていますが、\(\small \sqrt{2}\)があるのでなんとなく 45°かな、という予想はついたかもしれません。ちょっと式変形にコツがいりますが、分母分子に\(\small \sqrt{2}\)を掛け算すると
\(\small -\frac{\sqrt{2}}{2}=-\frac{\sqrt{2}×\sqrt{2}}{2×\sqrt{2}}=-\frac{2}{2×\sqrt{2}}=-\frac{1}{\sqrt{2}}\)
です。三角比はパターンが決まっているので覚えておくとよいでしょう。図は以下の通り。

\(\small \theta = \pi+\frac{\pi}{4}=\frac{5}{4}\pi\)。
\(\small \theta = 2\pi-\frac{\pi}{4}=\frac{7}{4}\pi\)。
よって、\(\small \theta = \frac{5}{4}\pi、\frac{7}{4}\pi\space \cdots\)(答)
(2)こちらも最初に式変形すると、\(\small \cos \theta = -\frac{\sqrt{3}}{2}\)です。

\(\small \theta = \pi-\frac{\pi}{6}=\frac{5}{6}\pi\)。
\(\small \theta = \pi+\frac{\pi}{6}=\frac{7}{6}\pi\)。
よって、\(\small \theta = \frac{5}{6}\pi、\frac{7}{6}\pi\space \cdots\)(答)
(3)以下の図より、求める角度は、
\(\small \theta = \frac{\pi}{4}\)。
\(\small \theta = \pi+\frac{\pi}{4}=\frac{5}{4}\pi\)。
よって、\(\small \theta = \frac{\pi}{4}、\frac{5}{4}\pi\space \cdots\)(答)

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