【数III】平均値の定理を利用した不等式の証明(式変形のコツを入試問題で徹底解説)

今回は、平均値の定理を利用した不等式の証明問題を解説します。そもそも平均値の定理の意味が分からないという人や不等式の証明問題で平均値の定理が使える形に式変形するのが苦手…という人向けに、本記事では、平均値の定理がどんな意味を持つ定理なのかと不等式の証明問題を解くときの式変形のコツについてわかりやすく解説していくので、是非最後まで確認してみてください!

 本記事はこんな人におすすめ
  • 平均値の定理の意味を理解したい人
  • 平均値の定理を利用した不等式証明のコツを知りたい人
  • 平均値の定理を利用した入試問題に挑戦したい
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【問題&解説】平均値の定理を利用した不等式の証明

そもそも問題演習に入る前に平均値の定理とは何ぞや?という人は、はじめに、講義1_平均値の定理とは講義2_平均値の定理の意味を確認しておきましょう。理解が深まると思います!

【問題1】\(\small b-a\)型の平均値の定理(難易度:★☆☆)

問題1:\(\small b-a\)型の平均値の定理(難易度:★☆☆)

\(\small a < b\)のとき、\(\small \displaystyle e^a < \frac{e^b-e^a}{b-a} < e^b\)を証明せよ。

問題解決のKey
関数の差の形を見つけたら平均値の定理が定石。
・平均値の定理を利用した不等式証明は次の3ステップを意識
 STEP1:平均値の定理を適用する関数を見つける
 STEP2連続かつ微分可能の確認
 STEP3:平均値の定理から得られる2つの関係式を利用する
詳細は講義4_不等式証明のコツを参照
 解説

不等式の形に関数\(\small f(x)=e^x\)の差(\(\small f(b)-f(a)=e^b-e^a\))が含まれていることから、平均値の定理が利用できないかという方針で検討してみる。

Point:平均値の定理
関数\(\small f(x)\)が\(\small a≦x≦b\)で連続かつ\(\small a<x<b\)で微分可能なとき、
$$\small \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)$$
となる\(\small c\)が\(\small a<c<b\)の範囲に存在する。
※平均値の定理の詳細については、講義1_平均値の定理とはを参照。

今回の問題にあてはめるならば、

\(\small f(x)=e^x\)とおく。関数\(\small e^x\)は連続かつ微分可能なので、\(\small f'(x)=e^x\)。平均値の定理から
\begin{split}
&\small \frac{e^b-e^a}{b-a}=f'(c)\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \color{#ef5350}{\frac{e^b-e^a}{b-a}=e^c \quad \cdots ①}\\
\end{split}
となる\(\small c\)が\(\small a<c<b\space \cdots②\)の範囲に存在する、ということ。

平均値の定理にあてはめたときに得られる関係式①と②の2つを不等式証明に利用する。

②の不等式より、\(\small e^a<e^c<e^b\)が成り立つ(指数が大きい方が大きくなる)ので、この関係式に①を代入することで

\begin{split}
&\small e^a<\color{#ef5350}{e^c}<e^b\\
&\small e^a<\color{#ef5350}{\frac{e^b-e^a}{b-a}}<e^b\\
\end{split}

よって、題意は示された。(証明終)

【問題2】\(\small x+h\)型の平均値の定理(難易度:★★☆)

問題2:\(\small x+h\)型の平均値の定理(難易度:★★☆)

自然対数について、次の式を証明せよ。
$$\small \displaystyle \frac{1}{x+1} <\log(1+x) -\log x <\frac{1}{x}$$ [東京医大]

Point:平均値の定理(差分明示型)
関数\(\small f(x)\)が閉区間 \(\small [x,x+h]\)で連続かつ開区間\(\small (x,x+h)\)で微分可能なとき、
$$\small \frac{f(x+h)-f(x)}{h}=f'(c)$$
となる\(\small c\)が\(\small x<c<x+h\)の範囲に存在する。

補足:閉区間、開区間とは?
開区間:開いた区間=イコールなし不等号(<)
閉区間:閉じた区間=イコール付き不等号(≦)

 解説

\(\small \log(1+x) -\log x\)の形を見て、冒頭のPointに記載の差分明示型の平均値の定理(ネーミングは私が勝手につけました(^^;))が使えそう。

関数を\(\small f(x)=\log x\)とすると\(\small \displaystyle f'(x)=\frac{1}{x}\)。

関数 \(\small \log x\)は\(\small x>0\)の範囲(\(\small \log x\)の真数条件より\(\small x\)は正)で連続かつ微分可能であることから、\(\small h=1\)として平均値の定理にあてはめると

\begin{split}
&\small \frac{\log(x+1)-\log x}{1}=f'(c)\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \color{#ef5350}{\log(x+1)-\log x = \frac{1}{c} \quad \cdots ①}\\
\end{split}

を満たす\(\small c\)が \(\small x<c<x+1 \space \cdots②\)の範囲に存在する。

\(\small x>0\)より、②の逆数をとると

\begin{split}
&\small \displaystyle \frac{1}{x+1} < \frac{1}{c} < \frac{1}{x}\\
\end{split}

(大小関係が逆転するので)。

あとは、ここに①を代入することで

\begin{split}
&\small \displaystyle \frac{1}{x+1} < \color{#ef5350}{\frac{1}{c}}< \frac{1}{x}\\
&\small \displaystyle \frac{1}{x+1} <\color{#ef5350}{\log(1+x) -\log x}< \frac{1}{x}\\
\end{split}

よって、題意は示された。(証明終)

【問題3】平均値の定理を繰り返し利用する不等式証明(難易度:★★★)

問題3:平均値の定理を繰り返し利用する不等式証明(難易度:★★★)

任意の実数 \(\small x,h\)に対して、
$$\small |\cos(x+h)-\cos x+h\sin x|≦ h^2$$ が成り立つことを示せ。
[広島大]

問題解決のKey
・\(\small h\)が任意の実数であるため、正、負、0で場合分けが必要な点に注意。
・方針が見えてこないときは、平均値の定理が使えそうな部分から手さぐり的に計算することも効果的
 解説

証明する不等式の左辺に絶対値がついていたり、中身も

\begin{split}
&\small \displaystyle \cos(x+h)-\cos x+h\sin x
\end{split}

のように\(\small h\sin x\)が余計についていたりなど、ちょっと単純に平均値の定理を適用するのは難しそうだなということが分かります。

ただ、左辺に含まれている「\(\small \cos(x+h)-\cos x\)」の形だけを見れば、平均値の定理(差分明示型)が使えそうだなということは分かりますね。

なので、一旦関数を\(\small f(x)=\cos x\)として平均値の定理を考えてみることにします。

ここで、\(\small h\)の正負によって大小関係が変わってくるので、場合分けしていきます。

[1] h>0の場合

関数\(\small \cos x\)は連続かつ微分可能であり、\(\small f'(x)=-\sin x\)より、平均値の定理から

\begin{split}
&\small \displaystyle \color{#ef5350}{\frac{\cos(x+h)-\cos x}{h}=- \sin c_1 \quad \cdots ①}\\
\end{split}

を満たす実数\(\small c_1\)が\(\small x<c_1 <x+h\)…②に存在する。

ここで、\(\small c_1=x+h_1 \)とおくと、②の不等式より、\(\small h_1\)は

\begin{split}
&\small x<c_1<x+h\\
\small \Leftrightarrow \space &\small x<x+h_1<x+h\\
\small \Leftrightarrow \space &\small 0<h_1<h \quad \cdots ③\\
\end{split}

を満たす。また、\(\small c_1=x+h_1 \)を①に代入することで、

\begin{split}
\small \displaystyle \frac{\cos(x+h)-\cos x}{h} &\small =- \sin (x+h_1)\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle \cos(x+h)-\cos x &\small =- h\sin (x+h_1)\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle \cos(x+h)-\cos x+h\sin x &\small =- h\sin (x+h_1)+h\sin x\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle \cos(x+h)-\cos x+h\sin x &\small =- h\color{#ef5350}{(\sin (x+h_1)-\sin x)}\quad \cdots ④\\
\end{split}

すると、最終式右辺の赤字箇所について、さらに平均値の定理が使えそうだ。

関数\(\small g(x)=\sin x\)とおくと、関数\(\small \sin x\)は連続かつ微分可能であり、\(\small g'(x)=\cos x\)。よって、平均値の定理から

\begin{split}
\small \frac{\sin (x+h_1)-\sin x}{h_1}=\cos c_2 \quad \cdots ⑤\\
\end{split}

を満たす実数\(\small c_2\)が\(\small x<c_2<x+h_1\)…⑥の範囲に存在する。

題意より \(\small x\)は任意の実数を取り得ることから、⑥の不等式を満たす\(\small c_2\)も任意の実数を取り得る。よって、⑤の右辺の\(\small \cos c_2\)は、\(\small -1≦\cos c_2≦1\)の値を取り得る。

ゆえに、⑤は

\begin{split}
&\small -1≦\frac{\sin (x+h_1)-\sin x}{h_1}≦1\\
\small \Leftrightarrow \space &\small -h_1≦\sin (x+h_1)-\sin x≦h_1\\
\small \Leftrightarrow \space &\small |\sin (x+h_1)-\sin x|≦h_1\\
\small \Leftrightarrow \space &\small |\sin (x+h_1)-\sin x|≦\color{red}{h_1<h}\\
\small \Leftrightarrow \space &\small |\sin (x+h_1)-\sin x|<h\quad \cdots ⑦\\
\end{split}

途中式赤字の\(\small h_1<h\)の不等号は、③の関係式を用いた。

よって、⑦の関係式を④に代入すると

\begin{split}
\small \displaystyle \cos(x+h)-\cos x+h\sin x &\small =- h\color{#ef5350}{(\sin (x+h_1)-\sin x)}\quad \cdots ④\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle |\cos(x+h)-\cos x+h\sin x &\small |=|- h|\color{#ef5350}{|\sin (x+h_1)-\sin x|}\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle |\cos(x+h)-\cos x+h\sin x &\small |=| h|\color{#ef5350}{|\sin (x+h_1)-\sin x|<}|h| \color{#ef5350}{h}\\
\small \Leftrightarrow \space \displaystyle |\cos(x+h)-\cos x+h\sin x &\small |<h^2\quad \cdots (*)\\
\end{split}

[2] h<0の場合

[1]の場合と流れは同様のため、概要だけ説明。

平均値の定理から、

\begin{split}
&\small \displaystyle \color{#ef5350}{\frac{\cos x-\cos(x+h)}{-h}=- \sin c_1}\\
\end{split}

を満たす実数\(\small c_1\)が\(\small x+h<c_1 <x\)に存在する。

\(\small c_1=x+h_1 \)とおくと、\(\small h<h_1<0 \space \Leftrightarrow \space |h_1|<|h|\)を満たすため

\begin{split}
&\small \displaystyle \color{#ef5350}{\frac{\cos x-\cos(x+h)}{-h}=- \sin c_1}\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \displaystyle \cos(x+h) – \cos x=-h\sin (x+h_1)\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \displaystyle \cos(x+h) – \cos x+h\sin x =-h\sin (x+h_1)+h\sin x\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \displaystyle |\cos(x+h) – \cos x+h \sin x|=|h||\sin (x+h_1)- \sin x|\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \displaystyle |\cos(x+h) – \cos x+h \sin x|<h^2 \quad \cdots (**)\\
\end{split}

ただし、最後の不等式評価は、[1]で計算した⑦の関係式

\begin{split}
&\small |\sin (x+h_1)-\sin x|<h\quad \cdots ⑦\\
\end{split}

が、\(\small h<0\)の場合についても成り立つことが示せることを用いた(各自確認してみましょう)。

[3] h=0の場合

問題の不等式の両辺を具体的に計算してみましょう。

\begin{cases}
\small (左辺)= \cos(x+0)-\cos x + 0\cdot \sin x=0\\
\small (右辺)= 0^2=0\\
\end{cases}

よって、\(\small h=0\)のとき、(左辺)=(右辺)が成り立つ。

ゆえに

\begin{split}
&\small \displaystyle |\cos(x+h) – \cos x+h \sin x|=h^2 \quad \cdots (***)\\
\end{split}

\(\small (*)、(**)、(***)\)の結果より、任意の実数\(\small h\)(\(\small h\)が正、負、0の場合)に対して問題の不等式が成立する。(証明終)

【徹底解説】平均値の定理を利用した不等式証明

【講義1】平均値の定理とは

Point:平均値の定理
関数\(\small f(x)\)が\(\small a≦x≦b\)で連続かつ\(\small a<x<b\)で微分可能なとき、
$$\small \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)$$
となる\(\small c\)が\(\small a<c<b\)の範囲に存在する。

んー…、情報量多くてわからん。という声が聞こえてきそうなので、1つ1つかみ砕いて解説します。

まずは最初の、「関数\(\small f(x)\)が\(\small a≦x≦b\)で連続かつ\(\small a<x<b\)で微分可能なとき」ってどんなときやねん!という部分を解説。

注目してほしいのは、「連続」と「微分可能」です。

連続とは、端的に言うと「つながってる」ということ。逆に、ぶった切れているものは連続とは言いません。これはイメージに近いのでわかりやすいと思います。

微分可能とは、「なめらか」で「カクカクしてない」ということ。図でイメージしてもらう方が分かりやすいと思います(下図参照)。

つまり、連続かつ微分可能とは、関数が「つながっていて」、「なめらかな(カクカクしてない)」線になってるということ。

次に、本題の「\(\small \displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)\)となる\(\small c\)が\(\small a<c<b\)の範囲に存在」について。

文字や数式で書かれていることを絵にすると以下の通り。

\(\small \displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}\)は、関数\(\small f(x)\)の\(\small x=a~x=b\)での平均の傾き((\(\small y\)の増加量)/(\(\small x\)の増加量)ってやつ)です。\(\small f'(c)\)は関数\(\small f(x)\)の\(\small x=c\)での接線の傾きですね。

つまり、\(\small \displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)\)は、「平均の傾きと接線の傾きが等しくなる」ということです。

さらに、平均の傾きと接線の傾きが等しくなるような点\(\small x=c\)が\(\small a~b\)の間にある、ということを言っています。このことは実際に図からもわかりますね。

ちなみに、図のような関数の場合、条件を満たす\(\small c\)は他にももう一か所あります(下図の\(\small c’\))。このように、「平均の傾き=接線の傾き」となる点は何個あってもよいのですが、最低でも1個はあるよというのが平均値の定理です。

なので、平均値の定理を少しかみ砕いた表現に翻訳するならば、「つながっていてなめらかな関数の場合、平均の傾きと等しくなるような接線を引ける点が\(\small a~b\)の間に必ず存在する」ということになります。なんとなく分かったような分からないような…。

●補足:連続と微分可能な区間について
平均値の定理では閉区間\(\small a≦x≦b\)で連続、開区間\(\small a<x<b\)で微分可能であることが条件になりますが、その理由を簡単に解説しておきましょう。
ポイントは、連続性は端点を含む一方で、微分可能性は端点を含まないという点です。
この理由は、連続性については、端点で不連続の場合、以下のようなパターンだと「平均の傾き=接線の傾き」となる点がなくなるからです。

微分可能性については、「平均の傾き=接線の傾き」となる点は端点以外にも存在するから、別に端点で微分ができるか(接線が引けるか)は気にしないということです。

【講義2】平均値の定理の意味

でもやっぱり皆さんの頭の中には、「結局平均値の定理って何なの?」という疑問が残っているのでははないかと思います。そこで平均値の定理を日常生活の例で例えるとどういう意味なのかを最後に解説しておきます。

たとえば、車でドライブしているとしましょう。目的地までは50kmあり1時間で到着しました。このとき、車の平均速度は、時速50kmになります。ここまではOKでしょう。この場合、平均値の定理が言っていることは、「この車はスタート地点から目的地に着くまでの間に必ず時速50kmで走っていた瞬間があった」ということです。

平均速度が時速50kmなのでそういわれれば当たり前ですよね。この一見当たり前のことを小難しくいったのが平均値の定理なわけです。平均値の定理では、「平均速度」の部分が「平均の傾き」に、「時速50kmで走っていた瞬間があった」の部分が「\(\small f'(c)\)を満たす\(\small c\)が\(\small a<c<b\)の範囲に存在する」に該当します。

【講義3】平均値の定理の別の形(差分明示型)

平均値の定理には講義1で紹介したような形のほかに、差分明示型(と私が勝手に呼んでいる)があります。

Point:平均値の定理(差分明示型)
関数\(\small f(x)\)が閉区間\(\small [x,x+h]\)で連続かつ開区間\(\small (x,x+h)\)で微分可能なとき、
$$\small \frac{f(x+h)-f(x)}{h}=f'(c)$$
となる\(\small c\)が\(\small x<c<x+h\)の範囲に存在する。

内容自体は講義1と同じため割愛しますが、こちらの表記では、\(\small b-a\)という差の部分を\(\small h\)と1文字で表現したパターンになっています。

入試問題では、この表記でも平均値の定理が出題されるので、しっかり覚えておきましょう。

【講義4】不等式証明のコツ

ここからは、平均値の定理を用いた不等式証明のコツについて解説します。

Point
・平均値の定理を利用した不等式証明は次の3ステップを意識
 STEP1:平均値の定理を適用する関数を見つける
 STEP2連続かつ微分可能の確認
 STEP3:平均値の定理から得られる2つの関係式を利用する

STEP1は、証明する不等式の形を見て関数\(\small f(x)\)がどんな関数になるかを見極めます。見極めるときには、平均値の定理にでてくる関数の差の形(\(\small f(b)-f(a)\)または\(\small f(x+h)-f(x)\))を意識しましょう。

STEP2は、平均値の定理を使うための前提条件の確認です。とはいっても、大体の関数は連続かつ微分可能なので、「関数\(\small f(x)\)は連続かつ微分可能なため、…」と機械的に論証しておけばOKでしょう。

ただ、問題によっては、定義域(\(\small x\)の範囲)が指定されていたり、対数関数や分数関数、無理関数など\(\small x\)の定義域に条件が課されている関数もあるので、その場合は、「●●の区間で連続かつ微分可能なため、…」と区間を指定してあげましょう。

例1)分数関数の場合
\(\small \displaystyle f(x)=\frac{1}{x+1}\)は、\(\small x <-1 ,-1 <x \)の区間で連続かつ微分可能のため、…
※分母≠0のため

例2)対数関数の場合
\(\small f(x)=\log (x-2)\)は、\(\small x>2\)の区間で連続かつ微分可能のため、…
※真数>0のため

例3)無理関数の場合
\(\small f(x)=\sqrt{x-3}\)は、\(\small x≧3\)の区間で連続かつ微分可能のため、…
※ルートの中身≧0のため

最後のSTEP3は、平均値の定理から得られる2つの関係式から不等式を証明します。その2つの関係式とは、

\begin{split}
&\small \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c) \quad \cdots (1)\\
&\small \quad a<c<b \quad \cdots (2)\\
\end{split}

の2つです。流れとしては、(1)の等式を(2)の不等式に代入する感じです。実際の流れは、問題演習の部分で解説しているので、そちらを確認してみましょう。

本記事のまとめ

今回は平均値の定理と、平均値の定理を利用した不等式証明のコツについて解説していきました。

最後に重要ポイントをおさらいして終わりにしましょう。

重要Point
・平均値の定理とは、区間内に「平均の傾き=接線の傾き」となるような点が存在するよという定理。
・不等式証明をする場合は、「適用する関数」、「連続性と微分可能性」、「2つの関係式」を確認しよう。

本日はここまでです。お疲れさまでした!

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