今回は三角関数の合成の証明とやり方について解説します。
三角関数の合成が苦手な人の多くは、公式にあてはめて解こうとしています。
しかし、三角関数の合成は公式を暗記しても、問題が解けるようになりません…(´;ω;`)。
この記事を読めば、三角関数の合成公式で覚えるべきポイントと理解すべきポイントがわかります。
ぜひ最後まで読んで、今日で三角関数の合成の苦手から卒業しましょう!
三角関数の合成とは
三角関数の合成の使用頻度、導出難易度、暗記/理解は以下の通りです。
三角関数の合成は、主に三角関数を含む方程式や不等式、最大、最小を求める問題で使います。
導出は結構大変(この後解説)なので、考え方を理解することで暗記量を減らすのがおすすめです。
三角関数の合成の証明・やり方
三角関数の合成公式は暗記?導出?
皆さん、三角関数の合成の公式は覚えるべきか、導出した方がよいのかが一番気になっている部分だと思うので、初めに結論を言っちゃいます。
結論、公式自体を丸暗記するのではなく、合成のやり方を覚えるのがおすすめです。
詳細はこのあと解説しますが、理由としては、三角関数の合成公式の導出は式変形が特殊であり、結局、式変形の方法自体を覚える必要があるからです。また導出に時間もかかります。
一方で、公式自体の丸暗記は、公式がやや複雑で覚えにくい点と、暗記しても問題が解けるようにならないことから、暗記するメリットが薄いんです。
そこで、おすすめしたいのが、三角関数の合成のやり方を覚えるという方法です。
では、具体的に、公式の導出、暗記のメリット・デメリットと、合成の裏ワザ的なやり方を次章で解説していきます。
三角関数の合成公式|導出のメリット・デメリット
三角関数の合成公式の導出のメリット・デメリットは以下の通りです。
・難しい公式を覚えなくてよい
・導出の考え方が理解できるのでcos型の合成などへの応用が利く
デメリット
・式変形が特殊で、慣れるまでは難しい。
公式導出のメリットは?
公式導出のメリットとしては、
- 公式を忘れてしまっても、自力で導出ができる
- 公式の成り立ちを理解しているので、応用力が増す
という2点が大きいでしょう。
三角関数の合成公式の証明(導出方法)
1点目の三角関数の合成公式の導出方法を解説しておきます。
■三角関数の合成公式の証明(導出方法)
$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\small a\sin\theta+b\cos\theta\\
&\small \displaystyle =\color{red}{\sqrt{a^2+b^2}}\left(\frac{a}{\color{red}{\sqrt{a^2+b^2}}}\sin\theta+\frac{b}{\color{red}{\sqrt{a^2+b^2}}}\cos\theta\right)\\
&\small \displaystyle =\sqrt{a^2+b^2}\left(\sin\theta\color{blue}{\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}}+\cos\theta\color{green}{\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}}\right)\\
&\small \displaystyle =\sqrt{a^2+b^2}\left(\sin\theta\color{blue}{\cos\alpha}+\cos\theta\color{green}{\sin\alpha}\right)\\
&\small \displaystyle =\sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha)\\
\end{split}
\end{equation}
$$
ただし、途中の\(\small \cos \alpha, \sin \alpha\)は
$$
\begin{cases}
\small \displaystyle \cos \alpha =\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\\
\small \displaystyle \sin \alpha =\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\\
\end{cases}
$$
とおいた。
このように、公式暗記するときに覚えにくい\(\small \displaystyle \sin\alpha=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)、\(\small \displaystyle \cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\)の部分が、式変形の過程で自然に出てくる点が、導出のメリットですね。
三角関数の合成|cos型の導出方法
2点目の応用力が増すについては、導出方法を理解しておけば、次のような問題に応用が利きます。
a. \(\small \theta+\beta\)
b. \(\small \theta-\beta\)
ただし、\(\small \displaystyle \sin\beta=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\)、\(\small \displaystyle \cos\beta=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)とする。
【解説】
$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\small a\sin\theta+b\cos\theta\\
&\small \displaystyle =\color{red}{\sqrt{a^2+b^2}}\left(\frac{a}{\color{red}{\sqrt{a^2+b^2}}}\sin\theta+\frac{b}{\color{red}{\sqrt{a^2+b^2}}}\cos\theta\right)\\
&\small \displaystyle =\sqrt{a^2+b^2}\left(\color{blue}{\sin\beta}\sin\theta+\color{blue}{\cos\beta}\cos\theta\right)\\
\end{split}
\end{equation}
$$
ここで、青字部分は問題文の条件、\(\small \displaystyle \sin\beta=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\)、\(\small \displaystyle \cos\beta=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)を代入しています。
$$
\begin{equation}
\begin{split}
\small (\textrm{与式})&\small \displaystyle =\sqrt{a^2+b^2}\left(\color{red}{\cos\beta\cos\theta+\sin\beta\sin\theta}\right)\\
&\small \displaystyle =\sqrt{a^2+b^2}\color{red}{\cos(\theta-\beta)}\\
&\small \displaystyle \quad \textrm{※赤字箇所は、加法定理を利用}\\
\end{split}
\end{equation}
$$
よって、答えは、b. \(\small \theta-\beta \quad \cdots\)(答)となります。
このような問題は、公式を丸暗記しているだけでは解くことができず、公式の導出過程を理解しているからこそ応用が利く式変形ができます。
公式導出のデメリットは?
公式導出のデメリットは、何といっても式変形が特殊ということです。
改めて導出方法を見返すと、突然\(\small \sqrt{a^2+b^2}\)で全体を括ったり、\(\small \displaystyle \frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}、\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)を\(\small \cos\alpha\)、\(\small \sin\alpha\)に置き換えたりなど、「加法定理を使うことを見越した戦略的な式変形」になっています。
スタートの式から単純な式変形をするわけではないという点で、「この変形を覚えるくらいなら暗記しちゃった方が楽じゃん!」と思った人も多いはずです。
三角関数の合成公式|暗記のメリット・デメリット
続いて、三角関数の合成公式の暗記のメリット・デメリットは以下の通りです。
・導出のための数式計算が不要
デメリット
・公式が複雑であり覚えにくい(特に、\(\small \displaystyle \sin\alpha=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)、\(\small \displaystyle \cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\)の部分)
・忘れてしまう可能性が高い
公式暗記のメリットは?
公式暗記のメリットは以下の通りです。
- 暗記してしまえば数式計算が不要
- 導出方法を覚えるくらいなら公式自体を暗記したほうが効率的
暗記が得意なのであれば暗記してもよいでしょう。
あとは、式を導出すること自体に苦手意識がある人は、暗記と割り切る方が近道です。
公式暗記のデメリットは?
暗記することのデメリットを挙げるとするならば、忘れてしまう可能性が高いということです。
特に、\(\small \displaystyle \cos\alpha = \frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}、\sin\alpha = \frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)の部分がどっちがサインでどっちがコサインなのかが忘れやすいポイントかなと思います。
この公式は使用頻度がそれほど高いわけではないので、たまに出てきたときに忘れてしまうという可能性が高いと思います。なので、対策として定期的に復習するのがよいかと思います。
【裏ワザ的解法】三角関数の合成のやり方
ここまで、公式暗記 vs 公式導出のメリデメを確認してきましたが、それぞれのメリットを活かして、デメリットを相殺するような「第3の方法」はないのでしょうか?
実は、第3の方法はあります!
それが「図×公式のコラボで覚える」方法です。
この方法は、私自身が現役高校時代に使っていたおすすめの方法なので、ぜひマスターして三角関数の合成を得意分野にしちゃいましょう!
三角関数の合成は『図×公式』のコラボで解け
この方法のベースは「公式暗記」になります。なので公式の導出は不要です。
そのうえで、公式暗記のデメリットである\(\small \displaystyle \sin\alpha=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)、\(\small \displaystyle \cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\)の暗記を図を描くことで回避するという方法です。
では、具体的なやり方を説明していきます。

STEP3:『\(\small r\sin(\theta +\alpha)\)』が合成した三角関数。
このやり方で覚えるべきは、\(\small a\sin\theta+b\cos\theta\)に対して、図のような円を描くことだけです。
$$\small r = \sqrt{a^2+b^2}$$
角度は、三角関数の合成の定義が
\begin{split}
&\small \displaystyle \sin\alpha=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}=\frac{b}{r}\\
&\small \displaystyle \cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}=\frac{a}{r}\\
\end{split}
なので、図の\(\small \alpha\)に相当します。
そのため、この図を描くことで合成ができるわけです。

最後に、この方法で三角関数の合成をする際に、注意点が2つあります。
◆図を描くときの注意点
・係数の符号を含めて座標にすること。
・座標がx軸より下側に来る場合、時計回りに負の角度で考えること。
詳細は次章の例題の中で解説します。
【例題】三角関数の合成のやり方
では最後に例題を通して三角関数の合成のやり方を解説します。
三角関数の合成のために座標と円を描くと以下のようになります。

座標をプロットするときには、「係数の符号を含めて座標にする」点に注意しましょう。今回ならば(2,-2)がプロットすべき座標になります。間違って(2,2)としないように注意しましょう。
半径は、図から三平方の定理を利用して
$$\small r = \sqrt{2^2+2^2}=2\sqrt{2} \space \cdots ①$$
と求めることができます。
次に、角度\(\small \alpha\)を求めます。角度を求める際には角度\(\small \alpha\)のとり方に注意しましょう。図中にも青色で描いている通り、x軸の下側にプロットした座標がある場合は、x軸から時計回りに角度を測るため、角度にマイナス符号がつきます。
反時計回りの角度である \(\small \displaystyle \alpha=\frac{7}{4}\pi=315°\)としても数学的には間違えではないのですが、通常\(\small \alpha\)は±180°以内の範囲で表すのが一般的なので、時計回りか反時計回りのどちらか近い方の角度で測ります。
なので、今回の場合であれば、角度は図から\(\small \displaystyle \alpha=-\frac{\pi}{4} \space \cdots ②\)となります。
よって、①、②より、三角関数の合成は、\(\small \displaystyle \color{red}{2\sqrt{2}\sin\left(\theta-\frac{\pi}{4}\right)\quad \cdots}\)(答)となります。
まとめ|三角関数の合成は図示して求める方法を覚えよう
今回は三角関数の合成公式の証明と合成のやり方について、公式暗記と公式導出のメリット・デメリット、および図と公式暗記を組み合わせたやり方を解説しました。
結論、「図×公式のコラボで暗記」が一番分かりやすく忘れにくいやり方になるので、合成の公式で悩んでいた方はぜひ、この方法で解けるように問題を重ねてみてください!
さらに、余裕があれば、合成公式の導出方法も頭の片隅に入れておくと最強だと思います。合成がスラスラできるようになったら、導出方法も覚えておきましょう。導出方法は、「半径 \(\small \sqrt{a^2+b^2}\)で括って加法定理でまとめる」、これくらいの感覚で覚えておけば、再現できると思います。
では本日はここまでです。お疲れさまでした!

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