【数学徹底解説】群数列の基本

今回は、数列の問題でよく見かける「群数列」について、解説していきます。
群数列に対して、「なんだか結構ややこしくて苦手…」という印象を持っている人でも、どう考えたら解きやすいか、図表を使って丁寧にわかりやすく解説しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください!

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1. 群数列とは?

数列をいくつかの塊ごとに区切った数列のことを、群数列といいます。例えば、以下の数列を見てください。

$$1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100, \cdots$$

これは、一般項\(\small a_n = n^2\)の数列ですが、これを、3つおきに区切って、

$$1, 4, 9 | 16, 25, 36 | 49, 64, 81 | 100, \cdots$$

とすると、3つずつの塊がいくつもできますね。この塊を「群」といい、群を持った数列なので、群数列と呼ばれています。

群数列とは

・数列をに区切ったもの。
・区切り方に規則性がある。

同じ数列でも、区切り方によって異なる群数列になります。例えば、さっきの数列を、

$$1|4, 9 | 16, 25, 36 | 49, 64, 81,100| \cdots$$

と区切ることもできますね。この時、初めの塊を「第1群」、2つ目の塊を、「第2群」といいます。
そして、群の中で、先頭の項から順に、1番目、2番目、…と数えていきます。「25」であれば、
3つ目の塊の最初から2番目にあるので、第3群の2番目ですし、第4群の3番目であれば、「81」になります。

最初のうちは簡単なのですが、「第100項目の50番目の数字って何?」みたいに、数が多くなると
書き出すこともできないので、ある程度数学的に考えていく必要があります。そこで必要な知識を
次の章で紹介します。

2. 群数列で必要な予備知識

2.1 等差数列の和

等差数列とは、数列が一定の間隔で増えたり減ったりする数列のこと。

[等差数列の例]

\(\small 1,3,5,7,9,11,\cdots\)

\(\small 5,10,15,20,25,30,\cdots\)

\(\small 7,4,1,-2,-5,-8,\cdots\)

等差数列の和を考えます。数列、\(\small 1,3,5,7,9,11,\cdots\)で、初項から、第6項の和を求めたければ、次のように考えれば、求められます。

まず、上の図のように、初項から第6項を抜き出した数列と、それらを逆に並べた数列を上下に並べます。次に、それらを縦に足していくと、等差数列の場合は、すべて同じ数になります。同じ数が、6項分できてきれいな感じになりましたが、実は、上の図の青枠の合計は、もとの数列の和の2倍になっているのがポイントです。なぜならば、青枠の数字は、もとの数列と、それを逆に並べた数列の合計で、数列を逆にしても、和は同じだからです。よって、青枠の合計を2で割ると、もともと求めたかった数列の和になります。

ここまで、言葉で説明したことを数式で計算すると、次の3ステップ。

①\(\small 1+11 = 12\) ←先頭と末尾を足す(厳密には、先頭と末尾じゃなくてもいいけどこれが一番わかりやすい)
②\(\small 12×6=72\) ←同じ合計が項数分あるので、項数で掛け算
③\(\small 72÷2=36\) ←求めたい数列の和は、半分なので2で割る

これを、公式的にまとめるとこんな感じです。

等差数列の和の公式

\(\small n\)項分の和を求めるとき、求める和を\(\small S_n\)とすると、
$$S_n=\frac{\{(先頭)+(末尾)\}×n}{2}$$

参考:等比数列の和の図形的意味

合計がすべて同じになるのは、等差数列が、一定の間隔で増減しているからで、よく下図のような階段に例えられます。もとの数列を赤とすると、数列の和を求めるというのは、赤色のブロックの個数を求めるということなので、一旦、逆さにした青色の数列を考えて、ブロックの段差をつなぎ合わせ、きれいにデコとボコをはめることで、ブロックの数は、縦12、横6のブロックの個数の半分になるので、簡単に求めることができるのです。

群数列の図形的意味

2.2 等差数列の一般項

等差数列の一般項

等差数列の第\(\small n\)項目は、初項を\(\small a\)、公差を\(\small d\)とすると
$$a_n=a+(n-1)d$$

2.3 個数と序数

難しい話ではないですが、群数列では、「個数」と「序数」を混同しないように気を付ける必要があります。個数は、数列の場合は群の中に何個の項があるかといったときに使います。序数は聞きなれない人もいるかもしれませんが、物の順番を表す言葉で、数列の場合は、第何項目といった、先頭からの項の位置を表すときに使います。

ここで一つ問題です。下の図で、第10項目が群の先頭、つまり1番目とすると、第15項目は、何番目になるでしょう。

5番目!…ではないですよね?正解は6番目です。個数と序数は1つずつずれるので、群数列では、群の先頭から何番目ですか?と聞かれることが多いので、ミスしないようにすることが大事です。ミスしないためには、個人的には、ちゃんと数えるのが無難だと思います。今回は、第10項と第15項なので、頑張って数えられますね。でも、あまりにも項数が離れている場合は、数えるわけにもいかないので、「個数と序数の関係性を確認する」という方法がおすすめです。今回だと、「序数(〇番目)に9を足すと項数になる」という法則があるので、第15項目は、15-9で6番目と分かります。これは、覚えておきましょう。

3. 例題&解説

問題

奇数の数列を、\(\small 1\space | \space 3,\space 5 \space | \space 7,\space 9,\space 11 \space | \space 13,\space 15, \space 17,\space 19 \space | \space 21,\space \cdots\)のように、第\(\small n\)群が\(\small n\)個の数を含むように分けるとき、
(1) 第\(\small n\)群の総和を求めよ。
(2) 301は第何群の何番目に並ぶ数か。

[昭和薬大 改題]


解答
(1)
今回考える数列は、奇数列なので、2ずつ増加する等差数列になります。なので、第\(\small n \)群の総和は、予備知識で解説した等差数列の和の公式を利用すればよいですね。そのためには、第\(\small n \)群の先頭と末尾を求めておく必要があります。
第n群の項数はn個なので、等差数列の公式にあてはめると、
$$S_n=\frac{\{(先頭)+(末尾)\}×n}{2}\space\space=\frac{(a_f+a_l)×n}{2}$$ こんな感じになるので、あとは、先頭\(\small a_f\)と末尾\(\small a_l\)を求めればokですね。 さらに、第\(\small n \)群の先頭を求めるためには、第\(\small n \)群の先頭が、奇数列の第何項目にあたるのかを求めれば、よさそうですね。ひとまず、第\(\small n \)群の先頭を第\(\small f\)項目、末尾を第\(\small l\)項目とおきます。\(\small f\)は、\(\small n-1\)群目までの項数合計の一つ次で、1群目の項数は1項、2群目の項数は2項、\(\small \cdots\)、\(\small n-1\)群目の項数は、\(\small n-1\)であることから、
$$f=[1+2+3+ \cdots +(n-1)]+1 = \frac{\{1+(n-1)\}×(n-1)}{2}+1=\frac{n(n-1)}{2}+1=\frac{n^2-n+2}{2}$$
末尾の項数\(\small l\)は、\(\small n\)群目の項数が\(\small n\)項であることから、\(\small f\)に\(\small n-1\)を足せばよいので(nを足すではないので注意。項数がn個あるということは、間は、n-1個になる)、 $$l=f+(n-1)=\frac{n^2-n+2}{2}+(n-1)=\frac{n^2+n}{2}$$ 奇数列の第\(\small m\)項目は、\(\small a_m=2m-1\)とあらわせるので、第\(\small f\)項目と、\(\small l\)項目は、 $$a_f=2f-1=2×\frac{n^2-n+2}{2}-1=n^2-n+1$$ $$a_l=2l-1=2×\frac{n^2+n}{2}-1=n^2+n-1$$ よって、求める第\(\small n\)群の総和を\(\small S_n\)とすると、 $$S_n=\frac{\{a_f+a_l\}×n}{2}=\frac{[(n^2-n+1)+(n^2+n-1)]×n}{2}=\frac{2n^3}{2}=n^3$$ と求められる。検算として、n=3の場合、第3群の総和は、\(\small 7+9+11=27=3^3\)であり、一致している。
(解答) 第\(\small n\)群の総和は、\(\small n^3\)

~躓きポイント解説~
Q:第\(\small n \)群の先頭が何項目か求めるときに、1群目からn群目までを足してから1加えるということは、 $$(\sum_{k=1}^{n-1} 2k-1)+1$$ ではないのでしょうか。
A:何を求めているのかに注意しましょう。今回求めたいのは、第n群の先頭が、奇数列の何項目に当たるのかを求めるのが目的です。 つまり、求めるものは、「項数」になります。上の式だと、第1項目から第n-1項目の「数列の合計」になってしまいます。普通の数列の問題だと、数列自体の和を求めることが多いのですが、群数列では、項数を求めることがあるので、ごっちゃにならないように注意しましょう。
(2)
第\(\small m\)群に含まれるとする。第何群に含まれるか知りたい場合は、目印として群の先頭の数をまずは把握しましょう。
第\(\small m\)群の先頭は、(1)の\(\small a_f\)の結果から、 $$a_f=m^2-m+1$$ これが301を超えないmが見つかれば、そこが301が属する群になります。あとは頑張って当てはまるmを探せばよいのですが、少し見つけにくいので、\(\small m^2-m+1=m(m-1)+1\)と式変形してあげると、大体\(\small m(m-1)≒m^2\)で探してあげればよさそうです。\(\small 17^2=289,18^2=324\)なので、例えば\(\small m=17\)で\(\small m^2-m+1\)に代入してあげると、273(第17群目の先頭)、\(\small m=18\)だと、307(第18群目の先頭)で、301を超えました。つまり、第17群目のどこかに301がいるとわかります。ここからは、求め方は、いろいろあるので、お任せですが、例えば、私だったら、307が近いので後ろから攻めます。301は奇数列では、307の3つ前です。第17群は17個の奇数が並んでいるので、その後ろから3番目ということは、前から数えると、15番目になります。 なので、第17群、15番目と分かります。
もう少し、数学的にかっちり解きたければ、第17群を、初項273、公差2の等差数列として、 $$a_n=273+2(n-1)=2n+271=301$$ を解けばよく、 $$2n+271=301$$ $$2n=30$$ $$n=15$$ と求まります。
(解答) 第17群、15番目

まとめ
今回は、群数列を解説していきました。何を求めるのかを意識しながら、ひとつずつ、求めていくことを意識して解くとよいので、繰り返し練習して流れをつかみましょう。今後も群数列の問題を解説していく予定なので、そちらも見てみてください。
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