【漸化式の解き方】特性方程式を利用した解法、等差数列型・等比数列型・階差数列型【漸化式マスターの道①】

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「漸化式の問題を見ると、何から手をつければいいか分からない…」、 「パターンが多すぎて、暗記だけで疲れてしまう…」 そんな悩みを持っていませんか?

数学B数列の最難関である漸化式はパターン数が多いためぱっと見の印象で難しそう感じてしまい、苦手意識を持ちやすいのですが、実はすべての問題は「等差数列型・等比数列型・階差数列型」の3つの基本形特性方程式の利用の考え方が土台になっています。

本記事では、漸化式の土台となる3つの基本形である等差数列型・等比数列型・階差数列型に加え、模試や入試で最も頻出する「特性方程式 \(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型」の解き方を分かりやすく解説していきます。

「解き方を知っているか」で勝負が決まる漸化式は、コツを掴めば確実に得点源にできる分野です。「漸化式マスターへの道」の第1弾として、まずは基礎を完璧に固めていきましょう!

【補足事項】
漸化式は基礎から応用問題まで数多くのパターンがあるので、基礎からステップごとに解き方を理解していくことが重要です。そこで、漸化式の全パターンを体系的にマスターできるように、漸化式関連の記事は『漸化式マスターの道』としてシリーズ化していきます!
漸化式が苦手な人や解けるようになりたい人は、ぜひ本記事含めて確認してみてください!

 本記事はこんな人におすすめ
  • 特性方程式を利用した漸化式の解き方について知りたい!
  • 特性方程式でなぜ解けるのかの考え方について理解したい!
  • 「等差数列型・等比数列型・階差数列型」の3つの基本形について知りたい!
  • 漸化式の基礎固めがしたい!
 本記事のレベル
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    難しい
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    暗記重視
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    理解重視
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【基礎講義】漸化式の基本パターン

そもそも漸化式ってなに?

漸化式とは、数列にでてくる項の関係性を表した数式のことです。

たとえば、

$$\small \{a_n\}=1,2,4,8,16,\cdots$$

という数列があったとしましょう。この数列の各項をよく見ると、「ある項を2倍すると次の項になる」という関係性があることが分かります(例えば、「第3項目(ある項)の4」を2倍すると「第4項目(その次の項)の8」など)。よって、この数列の項の関係性を数式化すると

$$\small \color{red}{a_{n+1}=2a_n}$$

と表せます。この関係式が漸化式というわけです。

漸化式の基本形3選

冒頭に漸化式には多くのパターンがあるといいましたが、基本形は3つだけです。その3つとは、「等差数列型」、「等比数列型」と「階差数列型」です。これから出てくる漸化式はいろいろとありますが、必ずこの3つに帰着するので超重要です!

【補足】
この後解説する『特性方程式を利用した漸化式』は等比数列型に帰着させて解く典型的な問題です。

Point:漸化式の基本形

【基本形①】等差数列型
・漸化式:\(\small a_{n+1}=a_n+d\)
・解  :\(\small a_n=a_1+(n-1)d\)

【基本形②】等比数列型
 ・漸化式:\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=ra_n}\)
 ・解  :\(\small \color{#5c6bc0}{a_n=a_1r^{n-1}}\)

【基本形③】階差数列型
 ・漸化式:\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=a_n+f(n)}\)
 ・解  :\(\small \color{#5c6bc0}{\displaystyle a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}f(k)\space (n≧2)}\)

ここからは、この3つの漸化式が、どうして等差数列、等比数列、階差数列になるのかを解説をしていきます。理由まで理解しておくと忘れにくいので、ぜひ一緒に確認していきましょう。

基本形①:等差数列型

基本形①:等差数列型
 ・漸化式:\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=a_n+d}\)
 ・解  :\(\small \color{#5c6bc0}{a_n=a_1+(n-1)d}\)

漸化式を言語化すると、ある項(\(\small a_n\))に\(\small d\)を足すと次項(\(\small a_{n+1}\))になるということで、等差数列の項同士の関係性を表しています。もしくは、少し式変形して、\(\small a_{n+1}-a_n=d\)としてあげると、隣り合う項の差が常に一定(\(\small d\))となるので、等差●●数列の定義になりますね。なので、この漸化式の解答は、等差数列の一般項になります。

基本形②:等比数列型

基本形②:等比数列型
 ・漸化式:\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=ra_n}\)
 ・解  :\(\small \color{#5c6bc0}{a_n=a_1r^{n-1}}\)

漸化式を言語化すると、ある項(\(\small a_n\))を\(\small r\)倍すると次項(\(\small a_{n+1}\))になるということで、等比数列の項同士の関係性を表しています。なので答えももちろん等比●●数列の一般項です!

基本形③:階差数列型

基本形③:階差数列型
 ・漸化式:\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=a_n+f(n)}\)
 ・解  :\(\small \color{#5c6bc0}{\displaystyle a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}f(k)\space (n≧2)}\)、\(\small n=1\)では\(\small a_1\)

最後は階差数列型ですが、\(\small f(n)\)がちょっとわかりにくいですよね…。\(\small f(n)\)は具体的には\(\small 2n+1\)や\(\small 3^n\)といった\(\small n\)を含む式と思っておけばOKです。

漸化式自体は等差数列型とよく似てますが、等差数列型では一定になっていた\(\small d\)の部分が\(\small n\)を含む式 \(\small f(n)\)になっていることが見分けるポイントです。

階差数列型の漸化式は、\(\small a_{n+1}-a_n=f(n)\)と式変形してあげれば、隣り合う項の差が数列 \(\small f(n)\) になっていると考えることができるので階差●●数列というわけです。なので解答も階差数列の一般項になります。

●OnePoint:漸化式から考える階差数列の一般項

参考問題

\(\small n≧2\)のとき、漸化式、\(\small a_{n+1}=a_n+f(n)\)の解が\(\small \displaystyle a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}f(k)\)となることを示せ。

 解説

以下のように漸化式を繰り返し用いることで示すことができる。

【超重要】特性方程式を利用した漸化式の解き方

では基本形の3パターンが分かったところで、一番重要な特性方程式を利用した漸化式の解き方を解説します。実は、今後たくさん出てくる応用問題の9割は、これから解説する特性方程式を利用した解法に帰着させる問題です。裏を返せば、特性方程式を利用した解法をマスターできていないと、応用問題は絶対に解けないので、しっかり解き方を覚えましょう!

\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型(特性方程式利用パターン)

Point:\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の解法
STEP1特性方程式を解く
STEP2:特性方程式の解 \(\small \alpha\)を用いて\(\small \color{#ef5350}{b_n=a_n-\alpha}\)とおき、
     \(\small b_n\)を基本形②(等比数列型)に帰着させて解く。
STEP3:求めた\(\small b_n\)から、\(\small a_n\)を求める

\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=pa_n+q}\)と言われると分かりづらいですが、\(\small p\)や\(\small q\)はただの数字なので、\(\small \color{#ef5350}{a_{n+1}=2a_n-3}\)のように\(\small a_{n+1}\)や\(\small a_{n}\)が足し引きされた漸化式が今回のパターンです。なぜ、特性方程式を使うと解けるのかや解き方の具体的な話は例題で解説していきます。

【例題】\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の解き方

例題:\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型(特性方程式利用パターン)

\(\small a_1=1\)、\(\small a_{n+1}=3a_n-4 (n=1,2,3,\cdots)\)によって定められる数列\(\small \{a_n\}\)の一般項を求めよ。

 解説
STEP

特性方程式を解く

●特性方程式とは?
 漸化式において、\(\small a_n\)や\(\small a_{n+1}\)を\(\small \alpha\)とおいた方程式のこと

今回の問題の特性方程式は、\(\small \color{red}\alpha =3\color{red}\alpha-4\)なので、方程式を解いて\(\small \alpha\)を求めると、\(\small \color{red}{\alpha = 2 }\)となります。

STEP

\(\small \color{red}{b_n=a_n-\alpha}\)とおき\(\small b_n\)を基本形②(等比数列型)で解く

STEP1で求めた特性方程式の解(\(\small \alpha=2\))から、\(\small \color{red}{b_n=a_n-2}\cdots①\)とおきます。いきなり\(\small b_n\)という謎の数列が登場しますが、実はこのようにおくと数列\(\small b_n\)は必ず基本形②(等比数列型)の漸化式を満たします

●\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の漸化式の解法ポイント
\(\small \color{red}{b_n=a_n-\alpha}\)とおくと、数列\(\small b_n\)は
$$\small \color{red}{b_{n+1}=pb_n}$$
(等比数列型(基本形②))を満たします。

元の漸化式 \(\small a_{n+1}=\color{red}pa_n+q\)の\(\small a_n\)の係数 \(\small p\)が等比数列型の公比 \(\small b_{n+1}=\color{red}pb_n\)になっている点に注意しましょう。

よって、等比数列型の漸化式の解は、
$$\small \color{red}{b_n=b_1p^{n-1}}$$
(基本形②の解)と求まります。

基本形②(等比数列型)の漸化式を忘れてしまった人はこちらに戻って確認しましょう。

ということで、本問の場合は、\(\small b_n=a_n-2\)とおくと、\(\small a_{n+1}=3a_n-4\)より\(\small a_n\)の係数が3であることから、\(\small b_n\)の漸化式は
$$\small \color{red}{b_{n+1}=3b_n}$$

よって、数列\(\small \{b_n\}\)の一般項は、

$$\small \color{red}{b_n=b_1\cdot3^{n-1}}\cdots②$$

●OnePoint:\(\small \{b_n\}\)の初項に注意!
問題文の\(\small a_1=1\)を初項としてしまうミスが起きがち…。このようなケアレスミスは、丁寧に途中式を書きながら解くことで減らせます。

①の式で\(\small n=1\)とすると、\(\small \color{red}{b_1}=a_1-2=1-2=\color{red}{-1}\)なので、②に代入すると、

$$\small b_n=-3^{n-1}\cdots③$$

これで\(\small b_n\)を求まります。

STEP

\(\small b_n\)から\(\small a_n\)を求める

最後にSTEP2で求めた数列\(\small \{b_n\}\)を\(\small \{a_n\}\)に置き換えることを忘れないように注意しましょう。置き換え方は、③の式を①の式に代入するだけです。

\begin{split}
\small b_n &\small =a_n-2\\
\small a_n &\small =b_n+2\\
\small \color{red}{a_n} &\small \color{red}{=-3^{n-1}+2\space \cdots(\mathbf{答})}\\
\end{split}

●OnePoint:なぜ特性方程式で解けるのか(発想のよりどころ)
特性方程式での解き方は分かっても「なぜこれでうまく解けるのか?」という疑問について、今回の問題を具体例として簡単に捕捉します。基本的な発想としては、

①【\(\small a_{n+1}=3a_n\color{magenta}{-4}\)】の最後にある\(\small \color{magenta}{“-4”}\)がなければ等比数列型(基本形②)になる!

②それなら\(\small -4\)を消せればOK

というアプローチです。②は当然\(\small -4\)をただ消すだけは問題が変わってしまいますから、\(\small \color{red}{\alpha = 3\alpha -4}\)という方程式(=特性方程式)を考えて、元の漸化式特性方程式引き算することで\(\small -4\)を消去して、等比数列型の漸化式にします。

このようにすると、等比数列型の漸化式は赤枠で囲った部分はいずれも\(\small \color{red}{a_n-\alpha}\)という数列になっていて、右辺が第\(\small n\)項、左辺が第\(\small n+1\)項になっているので、この数列を改めて\(\small b_n=a_n-\alpha\)と定義すると等比数列型の漸化式\(\small \color{red}{b_{n+1}=3b_n}\)としてうまく解くことができるわけです。そして、この時に出てくる\(\small \alpha\)は方程式\(\small \color{red}{\alpha = 3\alpha -4}\)を満たすので、結果、特性方程式の解を求めて引き算すればよいわけです。

【問題&解説】漸化式の基本問題

この章では基礎講義で扱った漸化式の基本形3つと特性方程式を利用した問題を実際に解いて理解度を確認していきましょう。

【問題1】等差数列型の漸化式

問題1:等差数列型(\(\small a_{n+1}=a_n+d\))の漸化式

\(\small a_1=5\)、\(\small a_{n+1}=a_n+2 (n=1,2,3,\cdots)\)によって定められる数列\(\small \{a_n\}\)の一般項を求めよ。

 解説

問題の漸化式は、\(\small d=2\)の等差数列型の漸化式 [*1]です。

よって、初項5(問題文に\(\small a_1=5\)とあるので)、公差2の等差数列なので、あとは漸化式を解くというよりは、普通にこの等差数列の一般項を求めてあげればOKです。

よって、\(\small \color{red}{a_n}=5+(n-1)\cdot2=\color{red}{2n+3}\) …(答)

*1:【補足】
本問は \(\small a_{n+1}\)と\(\small a_n\)の係数がどちらも1ですが、この係数が1以外になると隣り合う項の差が一定(\(\small a_{n+1}-a_{n}=d\))の形にならなくなるため、等差数列ではなくなります。
その場合は、特性方程式を用いて漸化式を解くことになります。

Point:漸化式と数列の関係
漸化式とは冒頭にも解説した通り、数列の項の関係性を表しただけの式に過ぎません。なので、漸化式を見たときにその関係性が「等差数列」「等比数列」「階差数列」といった一般項の求め方を知っている数列である場合は、単純に一般項を求めてあげれば漸化式が解けたことになります。

ただ、一般的に入試等で出てくる漸化式の問題は、有名な数列ではないので、特性方程式などのテクニックを駆使して「等差数列」「等比数列」「階差数列」に帰着させて解くという考え方が必要になっていきます。

【問題2】等比数列型の漸化式

問題2:等比数列型(\(\small a_{n+1}=ra_n\))の漸化式

\(\small a_1=4\)、\(\small 2a_{n+1}=a_n (n=1,2,3,\cdots)\)によって定められる数列\(\small \{a_n\}\)の一般項を求めよ。

 解説

問題の漸化式の両辺を2で割ると

\begin{split}
&\small 2a_{n+1}=a_n\\
\small \Leftrightarrow \space &\small a_{n+1}=\frac{1}{2}a_n\\
\end{split}

より、等比数列型の漸化式に帰着します。よって、初項4(問題文中に\(\small a_1=4\)とあるので)、公比\(\small \displaystyle \frac{1}{2}\)の等比数列となるため、一般項は、\(\small \displaystyle \color{red}{a_n}=4\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}=\color{red}{\left(\frac{1}{2}\right)^{n-3}}\) …(答)

●OnePoint:検算して答えがあっているか確認しよう
漸化式の問題は、漸化式に値を代入していけば次の項を求めることができるので、最初の2~3項を計算して求めた答えと一致しているか確認しておくと安心です。
例えば、今回であれば漸化式から、\(\small a_1=4、a_2=2、a_3=1\)となり、一方求めた答えに\(\small n=1、2、3\)をそれぞれ代入すると
\begin{cases}
\small a_1=\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{-2}=2^2=4\quad (n=1)\\
\small a_2=\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{-1}=2^1=2\quad (n=2)\\
\small a_3=\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^{0}=1\quad (n=3)\\
\end{cases}
となることから、一致していることが分かります。

●補足
\(\small \displaystyle a_n=4\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)でも正解です。
ただ、\(\small 4=2^2\)なのできれいにまとめておくと回答がすっきりします。

【問題3】階差数列型の漸化式

問題3:階差数列型(\(\small a_{n+1}=a_n+f(n)\))の漸化式

\(\small a_1=1\)、\(\small a_{n+1}=a_n+2^n-2n (n=1,2,3,\cdots)\)で定義される数列の一般項\(\small a_n\)を求めよ。 [法政大]

 解説

問題の漸化式の\(\small a_n\)以降にある\(\small n\)を含んだ式を\(\small f(n)=2^n-2n\)と見なしてあげると、問題の漸化式は、

\begin{split}
&\small a_{n+1}=a_n+\color{#ef5350}{2^n-2n}\\
\small \Leftrightarrow \space &\small a_{n+1}=a_n+\color{#ef5350}{f(n)}\\
\end{split}

となることから、階差数列型の漸化式であることが分かります。

よって、あとは階差数列の公式を使って一般項を求めればOKです。

初項\(\small a_1=1\)であることから

\begin{equation}
\small a_n=
\begin{cases}
\small 1\quad(n=1)\\
\small \displaystyle 1+\sum_{k=1}^{n-1}f(k)\space (n≧2)\quad \cdots①\\
\end{cases}
\end{equation}

●OnePoint:階差数列の公式について
階差数列の一般項は、第2項目以降であれば、初項に\(\small f(k)\)(\(\small k=1,2,\cdots ,n-1\))を足し算することで求めることができます。ただし、「初項だけは\(\small f(k)\)を足す必要がない」という特別性があるので、上記のように\(\small n=1\)とそれ以外(\(\small n≧2\))で場合分けしています。

\(\small n≧2\)の場合、数列の差にあたる式が\(\small f(n)=2^n-2n\)なので、一般項\(\small a_n\)はこの式を①に代入すると

\begin{split}
\small a_n &\small =1+\sum_{k=1}^{n-1}\left(2^k-2k\right)\\
&\small =1+\sum_{k=1}^{n-1}2^k-2\sum_{k=1}^{n-1}k\\
&\small =1+\frac{2(1-2^{n-1})}{1-2}-2\cdot\frac{1}{2}(n-1)n\\
&\small =1-2+2^{n}-n^2+n\\
&\small =\color{red}{2^{n}-n^2+n-1\quad \cdots②}\\
\end{split}

●OnePoint:シグマ計算のコツ
階差数列では、シグマの和の範囲が\(\small 1~n-1\)までなので、公式と少しずれておりミスが起きやすいです。なので、公式を言葉に直して計算する方法が分かりやすくておすすめです。

■等比数列の和
$$\small \displaystyle \sum_{k=1}^n r^{k-1}=\frac{1-r^n}{1-r}=\frac{(\color{#ef5350}{\mathbf{最初の項}})\times(1-r^{\color{#ef5350}{\mathbf{項の個数}}})}{1-r}$$

■等差数列の和
$$\small \displaystyle \sum_{k=1}^n k=\frac{1}{2}n(n+1)=\frac{1}{2}(\color{#ef5350}{\mathbf{項の個数}})\times(\color{#ef5350}{\mathbf{最初の項}}+\color{#ef5350}{\mathbf{最後の項}})$$

たとえば、\(\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}2^k=2+4+8+\cdots\)であれば、和の最初の項は2、項数は\(\small 1~n-1\)までの\(\small n-1\)項なので、\(\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}2^k=\frac{\color{red}2(1-2^{\color{blue}{n-1}})}{1-2}=2^{n}-2\)と計算できます。

同様に\(\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k=1+2+\cdots+n-1\)も最初の項が1最後の項が\(\small n-1\)(\(\small k=n-1\)を代入しただけ)、項数が\(\small n-1\)なので、\(\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k=\frac{1}{2}(\color{green}{n-1})\{\color{red}1+(\color{blue}{n-1})\}=\frac{1}{2}(n-1)n\)と求められます。

ここで、②の式で\(\small n=1\)を代入すると

\begin{split}
\small a_1&\small =2^{1}-1^2+1-1=1\\
\end{split}

となり、問題文の初項 \(\small a_1=1\)と一致します。

よって、②は一般の\(\small n\)に対して成り立つので、①で\(\small n=1\)と\(\small n≧2\)の場合分けはしなくてもよい(一致するから)ことが確認できたので、\(\small \color{red}{a_n=2^{n}-n^2+n-1\space \cdots(\mathbf{答})}\)

●OnePoint:\(\small n=1\)の場合も成り立つことを確認するのはなぜ?
階差数列の場合、\(\small \displaystyle a_n=1+\sum_{k=1}^{n-1}\left(2^k-2k\right)\)のように、シグマの和の範囲が1~\(\small \color{red}{n-1}\)までとなっており、大小関係から\(\small 1≦n-1\)、すなわち\(\small n≧2\)が前提になっていることから、\(\small n=1\)の場合に初項\(\small a_1\)と一致するかどうかは保証されていません(多くの場合一致するけど…)。なのでしっかり\(\small n=1\)の場合に成り立つのかどうかを確認する必要があります。ちなみに、一致しない場合は、\(\small n=1\)の場合と\(\small n≧2\)の場合で場合分けして答えをそれぞれ書けばOKです。

【問題4】\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の漸化式

問題4:\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の漸化式

\(\small a_1=1\)、\(\small 6a_{n+1}=3a_n+4 (n=1,2,3,\cdots)\)で定義される数列の一般項\(\small a_n\)を求めよ。

 解説

\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)と見比べると\(\small a_{n+1}\)に係数がついているので、「あれ?特性方程式が使えないのかな…」と思ったかもしれませんが、両辺を6で割り算してあげると

$$\small a_{n+1}=\frac{1}{2}a_n +\frac{2}{3}$$

と変形できるので、\(\small \displaystyle p=\frac{1}{2}\), \(\small \displaystyle q=\frac{2}{3}\)と置けば\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の漸化式であることが分かります。

特性方程式の解は、
\begin{split}
\small 6\alpha &\small =3\alpha+4\\
\small 3\alpha &\small =4\\
\small \alpha &\small =\frac{4}{3}\\
\end{split}

なので、\(\small \displaystyle \color{red}{b_n=a_n-\frac{4}{3}}\cdots①\)とおくと、\(\small \displaystyle \color{red}{b_{n+1}=\frac{1}{2}b_n}\cdots②\)と変形できます [*1]。

*1:【補足】\(\small a_{n+1}\)の係数に注意!
\(\small 6a_{n+1} = 3a_n+4\)の形のままで\(\small a_{n}\)の係数の3を見て\(\small b_{n+1}=3b_n\)とするのは誤りなので注意が必要です!

\(\small a_{n+1}=pa_n+q\)型の漸化式は\(\small a_{n+1}\)の係数が必ず1である必要があります。今回の問題のように\(\small a_{n+1}\)の係数が1ではない場合は、式全体を\(\small a_{n+1}\)の係数で除算することで必ず1にしてあげましょう。具体的には\(\small \displaystyle a_{n+1}=\frac{1}{2}a_n+\frac{2}{3}\)と式変形したうえで、\(\small a_n\)の係数である\(\small \displaystyle \frac{1}{2}\)を公比として、\(\small b_{n+1}= p b_n\) ⇔ \(\small \displaystyle b_{n+1}=\frac{1}{2}b_n\)とすればOKです。意外と引っかかりやすいポイントなので注意しましょう。

\(\small \displaystyle \color{#ff0055}{b_1}=a_1-\frac{4}{3}=1-\frac{4}{3}=\color{#ff0055}{-\frac{1}{3}}\)より、②の解は、\(\small \displaystyle b_n=-\frac{1}{3}\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}\cdots③\)。

最後に③の結果を①に代入すると

\begin{split}
\small b_n &\small =a_n-\frac{4}{3}\\
\small a_n &\small =b_n+\frac{4}{3}\\
\small \color{red}{a_n} &\small \color{red}{=-\frac{1}{3}\cdot\left(\frac{1}{2}\right)^{n-1}+\frac{4}{3}\cdots(答)}\\
\end{split}

本記事のまとめ

今回は、漸化式の土台となる「3つの基本形」と、一番基本となる漸化式パターンである「特性方程式型」の漸化式の解き方を解説しました。

パターン漸化式の形一般項の求め方
等差型$$\small a_{n+1} = a_n + d$$等差数列の公式 $$\small a_n = a_1 + (n-1)d$$
等比型$$\small a_{n+1} = ra_n$$等比数列の公式 $$\small a_n = a_1 \cdot r^{n-1}$$
階差型$$\small a_{n+1} = a_n + f(n)$$階差数列の公式 $$\displaystyle \small a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} f(k)$$
特性方程式型$$\small a_{n+1} = pa_n + q$$等比型に帰着させて解く

特性方程式を利用する\(\small a_{n+1} = pa_n + q\) 型で学んだ通り、漸化式の攻略で最も大切なのは「うまく式変形をして、既に知っている基本形に帰着させる」という考え方です。

今後登場するさらに複雑な応用問題(指数型、分数型、3項間など)も、すべてはこの「基本形に帰着させる」というプロセスを辿ります。その意味では、今回解説した4つの漸化式は、漸化式の基礎中の基礎になっています。

「うまく式変形する」ためのテクニックは、初見ではなかなか思いつかないものも多いです。しかし、一度パターンを覚えて演習を繰り返せば、必ず「あ、あの形に戻せばいいんだ!」と気づけるようになります。

まずは今回の基本形を完璧にマスターし、自信がついたらぜひ【漸化式マスターへの道②】でさらに高度なパターンに挑戦してみてください!

本日はここまでです。お疲れ様でした!

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