【数Ⅱ】微分を利用した不等式証明|3次不等式の証明・不等式の成立条件

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今回は、微分を利用した「不等式の証明」について、解き方と考え方を徹底解説します。

数Ⅱの範囲では主に3次不等式を扱いますが、実は3次不等式以外(三角関数や対数関数など)の不等式に関しても同じ考え方で証明ができます(詳しくは、数Ⅲの微分で学習します)。

本記事では、そんな数Ⅲでも活用できる不等式証明の重要な考え方について理解を深めるとともに、応用問題として頻出の「不等式が成り立つ条件(定数の範囲)」を求める問題についても、考え方のコツを詳しく解説していきたいと思います。

本記事でわかること ・証明問題で微分や関数のグラフが出てくる理由を理解する。
3次不等式の証明問題の解き方・考え方を理解する。
・不等式が成り立つような定数の値の範囲を求める応用問題の考え方を理解する。
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【基礎講義】不等式証明の考え方

不等式証明の2つの指針

3次不等式の証明に限らず、一般的に不等式の証明は

グラフを利用した証明
・うまく式変形を利用した証明

の大きく2通りの指針があります。

今回はこのうち、1つ目のグラフを利用した証明について解説します。

グラフを利用した不等式証明|手順を解説

まず、グラフを利用した証明手順は以下の3ステップです。

Point:グラフを利用した不等式証明の手順
STEP1:不等式を\(\small f(x)≧0\)(または\(\small f(x)>0\)の形に式変形
STEP2:関数\(\small f(x)\)のグラフの概形を図示
STEP3:グラフが\(\small x\)軸上(「≧0」の場合)・\(\small x\)軸の上側に存在することを確認

グラフを利用した不等式証明|考え方を解説

では、なぜこの手順で不等式が証明できるのかについて解説していきます。

不等式は「…≧…」と「…>…」のパターンがありますが、考え方はいずれも同じなのでここでは「…≧…」の場合に絞って解説します!

証明したい不等式は片方を0にすることで、必ず『\(\small f(x)≧0\)』の形にできます。

補足:\(\small f(x)≧0\)とは?
\(\small f(x)\)とは\(\small x\)を含む式のことなので、たとえば\(\small f(x)=x^3+2x+x+1\)であれば、 $$\small x^3+2x+x+1≧0$$ という不等式になります。

ここで、左辺を関数\(\small y=f(x)\)と見なすことにします。この視点の切り替えが最重要ポイントになります。

すると不等式 \(\small f(x)≧0\)は、関数\(\small f(x)\)が0以上の範囲という意味になります。言い換えれば、関数 \(\small f(x)\)が\(\small x\)軸上またはその上側にあるという意味になります。

補足:\(\small f(x)≧0\)のグラフ的な意味
関数 \(\small y =f(x)\)を不等式 \(\small f(x)≧0\)に代入すると\(\small y≧0\)となります。これは、\(\small y\)座標が0以上の範囲を表しています。 \(\small y\)座標が0となるのは\(\small x\)軸上なので、\(\small y\)座標が0以上となるのは『\(\small x\)軸上とその上側の範囲』ということになります。

この考え方から、関数\(\small f(x)\)のグラフをかいて(…STEP2)、\(\small x\)軸上または\(\small x\)軸の上側に存在するかを確認する(…STEP3)ことで、不等式 \(\small f(x)≧0\)を示すことができます。

なぜグラフの概形を考えるのか?

冒頭で不等式証明には2つの指針があると述べました。

1つ目のグラフを利用した証明方法について解説してきたわけですが、改めて考えてみると、わざわざ数式を関数と見なしてグラフの問題に置き換えるというのは、回りくどくて複雑な証明方法な気がします。2つ目にあるような数式を式変形して証明する方が考え方としてはシンプルですよね。

では、なぜグラフを利用した証明なんかを考えるのでしょうか?

一般的に、不等式を『ただの数式』と捉えて解こうとすると、文字を含む式であるがゆえに大小関係を示すことは非常に難しくなります。しかし、数式を『関数』と捉え直すことでグラフと\(\small x\)軸との位置関係を示す問題に置き換わるので、視覚的に捉えることができ非常に考えやすくなります。

このように、不等式の問題をグラフの概形という視覚的に分かりやすい図形問題に帰着させることで証明が一気に簡単になります。

【問題&解説】3次不等式の証明問題

【基礎問題】3次不等式の証明

【基礎問題】3次不等式の証明

\(\small x≧0\)のとき、次の不等式が成り立つことを証明せよ。
$$\small x^3+4≧3x^2$$

 解説

問題の不等式を式変形すると

$$\small x^3-3x^2+4≧0$$

となることから、問題の不等式を示すためには、左辺を\(\small f(x)=x^3-3x^2+4\)とおいて、

\(\small x≧0\)の範囲で\(\small f(x)≧0\)が成り立つ \(\small \cdots ①\)

ことを示せばよいことになります。

また、①のグラフ的な意味合い

\(\small x≧0\)の範囲で、関数\(\small y=f(x)\)が
\(\small x\)軸上または\(\small x\)軸の上側に存在する \(\small \cdots ②\)

となります。

ここまで整理できれば、あとは②の条件を満たすことを実際にグラフの概形を図示することで確認していきましょう。

関数 \(\small f(x)=x^3-3x^2+4\)を微分して極値を求めると

\begin{split}
&\small f^\prime (x) =0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small 3x^2-6x=0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small x(x-2)=0\\
\small ∴ \space &\small x=0, \space 2\\
\end{split}

増減表は

となるので、グラフの概形は以下のようになります。

グラフを見ると、\(\small x≧0\)の範囲では関数\(\small f(x)\)は\(\small x=2\)のとき\(\small x\)軸上で、それ以外では\(\small x\)軸より上側の範囲に存在しています。つまり、②が成り立っていることが確認できます。

よって、\(\small x≧0\)の範囲では\(\small f(x)≧0\)が成り立ちます。

補足:最小値に着目して\(\small f(x)≧0\)を示す方法
解説ではグラフを書きながら関数\(\small f(x)\)と\(\small x\)軸との位置関係を確認していきましたが、慣れてきたらグラフを書かなくても最小値から判断できます。増減表を見ると、\(\small x≧0\)の範囲では関数\(\small f(x)\)は極小値 0よりも小さな値を取ることはありません(つまり0が最小値)。
よって、\(\small x≧0\)の範囲では\(\small f(x)≧\color{#5c6bc0}{0}\)(最小値)が成り立つと判断できます。

これで①が示せたので、

\begin{split}
&\small f (x) ≧0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small x^3-3x^2+4≧0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small \color{red}{x^3+4≧3x^2}\\
\end{split}

よって、問題の不等式が成り立つことを示すことができました。

【応用問題】不等式の成立条件

【応用問題】不等式の成立条件

不等式 \(\small x^3-3ax^2+4a>0\)が \(\small x≧0\)に対して常に成り立つような定数\(\small a\)の値の範囲を求めよ。

問題解決のKey
『ある範囲において、不等式 \(\small f(x)>0\)が常に成り立つ』条件を求める問題は、ある範囲での関数\(\small f(x)\)の最小値が正(最小値\(\small >0\))になることを示せばよい。
 解説

\(\small f(x)=x^3-3ax^2+4a\)とおくと、今回示すべきは

\(\small x≧0\)の範囲で \(\small f(x)>0\)が常に成り立つような定数 \(\small a\)の範囲

となります。

グラフの問題に置き換えるなら、\(\small x≧0\)において、関数 \(\small f(x)=x^3-3ax^2+4a\)が\(\small x\)軸の上側にあることが\(\small a\)が満たすべき条件になります。

補足:常に成り立つとは?
『\(\small x≧0\)に対して常に成り立つ』とは、『0以上のすべての\(\small x\)の値で成り立つ』という意味です。はじめてだと少し分かりずらいかもしれませんが、数学ではよく出てくる表現なので覚えておきましょう。

そして、関数が常に\(\small x\)軸の上側にあるためには、関数 \(\small f(x)\)の極小値(正確には最小値)が正になっていればよいことになります。

Point:不等式が常に成り立つ条件
ある範囲で、\(\small f(x)≧0\)が常に成り立つ
⇔ ある範囲での 関数 \(\small f(x)\)の最小値\(\small >0\)

ではここからは関数 \(\small f(x)\)の極小値を求めていきます。

まずは極値を求めると

\begin{split}
&\small f^\prime (x) =0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small 3x^2-6ax=0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small x(x-2a)=0\\
\small ∴ \space &\small x=0, \space 2a\\
\end{split}

ここで求めた極値は、\(\small a\)の値によって、

\(\small a>0\)であれば\(\small x=0\)で極大、\(\small x=2a\)で極小
\(\small a<0\)であれば\(\small x=2a\)で極大、\(\small x=0\)で極小
\(\small a=0\)であれば極値はなし

となるので、場合分けして考えてきます。

[1] \(\small a>0\)の場合
グラフの概形から、\(\small x=2a\)で極小になるので、極小値は
\begin{split}
\small f(2a) &\small =(2a)^3-3a\cdot(2a)^2+4a\\
&\small =8a^3-12a^3+4a\\
&\small =-4a^3+4a\\
\end{split}
\(\small x≧0\)の範囲では、極小値=最小値 [*1]となることから、最小値\(\small >0\)となるためには
\begin{split}
\small f(2a) &\small >0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small -4a^3+4a>0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small a(a^2-1)<0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small a(a-1)(a+1)<0 \space [*2]\\
\small ∴ \space &\small a<-1, \space 0<a<1\\
\end{split}
\(\small a>0\)の範囲と合わせると、\(\small 0<a<1\)…① が\(\small a\)の範囲になります。

*1:【補足】極小値=最小値の意味について
最小値とは、関数が「最も」小さい値のことを意味します。一方で極小値とは、狭い範囲で最小値っぽいところ(正確には関数の増減が減少から増加に変わる点)を意味しているという違いがあります。言い換えれば、極小値よりも小さい値はたくさん存在するということです(これはグラフを見れば一目瞭然ですね)。

今回の問題では、\(\small x=2a\)は\(\small x\)の全範囲で見ると極小値ですが、\(\small x ≧0\)の範囲で見ると極小値よりも小さな値は存在しないため、極小値が最小値になるわけです。
*2:【補足】3次不等式の解き方
\(\small a(a-1)(a+1)<0\)は、2次不等式のときと考え方は同じで \(\small g(a)=a(a-1)(a+1)\)のグラフが\(\small a\)軸よりも下側の範囲が解になるので、図より\(\small a<-1\), \(\small 0<a<1\)が解となります。

[2] \(\small a<0\)の場合
この場合は、\(\small x=0\)が極小になるので、[1]と同様に考えると\(\small f(0)>0\)が成り立てばよいことになるので、
\begin{split}
\small f(0) &\small =4a\\
\end{split}
が正になればよいので、
\begin{split}
\small 4a &\small >0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small a>0\\
\end{split}
となればよいのですが、この条件は\(\small a<0\)と矛盾するため、解なしとなります。

[3] \(\small a=0\)の場合
この場合、関数 \(\small f(x)=x^3-3ax^2+4a\)に\(\small a=0\)を代入して具体的な関数を求めると\(\small f(x)=x^3\)となるので、グラフの概形は

となります。
\(\small f(x)=x^3\)は原点を通る関数なので、\(\small x≧0\)で\(\small f(x)>0\)が常に成り立つことはありません(\(\small x=0\)で\(\small f(0)=0\)となり\(\small f(x)>0\)を満たさないため)。
よって、問題の条件を満たす\(\small a\)の値としては不適となります。

よって、[1]~[3]の結果から、条件を満たすような\(\small a\)の値の範囲は①のみなので、\(\small 0<a<1\)…【答】.

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