今回は、三角関数を含む方程式(三角方程式)を分かりやすく解説します。
「単位円の書き方が分からない」、「単位円を使ったsin、cos、tanの値の求め方が分からない」、「角度が90°超えると分からなくなる」という悩みに対して、sin、cos、tanの各パターンごとに三角比の求め方を徹底解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください!
三角方程式とは?
突然ですが、次の問題、解けますか?
「\(\small \displaystyle \theta = \frac{7}{6}\pi、\frac{11}{6}\pi \)が答え!…」と思った人は要注意!三角方程式の解き方を完全には理解できてないかもしれません。
この問題の正しい答えは、\(\small \displaystyle \theta = -\frac{5}{6}\pi、-\frac{\pi}{6} \) …【答】になります。
さて、上記のような三角関数(sin・cos・tan)を含む方程式を三角方程式と言います。
今回は、単位円を利用した三角方程式の解き方をsin、cos、tanに分けて解説していきます!
冒頭の問題が解けなかった人も、三角方程式の解き方をステップごとに丁寧に解説しているので、焦らずに一緒に見ていきましょう!
また、「解けた」という人は他パターンの問題も確認して実力をチェックしてみましょう。
三角方程式を解くための単位円の使い方
皆さんは、三角方程式を解くときに、単位円を活用できていますか?
三角方程式に限らず、三角関数が苦手な生徒ほど、単位円を描かない傾向があります。
「なんで、単位円を描かないの?」と聞くと、「どう書けば分からないから」ということでした。
三角方程式の問題を解くにあたって一番重要なのは、単位円を活用することです。
なので、まず初めに単位円の使い方について解説していきます。
単位円が使えるようになると、「\(\small \displaystyle \sin\frac{5}{3}\pi\)」といった三角関数の値をすぐに導けるようになるため、値を暗記する必要がなくなり非常に便利です。なので、最初は時間がかかってでも絶対に習得しましょう。
・STEP2:三角形の偏角を特定
・STEP3:範囲内の角度を求める
三角方程式はこの3ステップで解くことができます。
では、具体的に単位円を使った三角方程式の解き方を、次章で詳しく解説していきます!
単位円を使った三角方程式の解き方
では、冒頭に紹介した例題1を使って、単位円の書き方3ステップに従って三角方程式を解いていきたいと思います。
今回求めたいのは、\(\small \sin\theta\)が\(\small \displaystyle -\frac{1}{2}\)のときの角度\(\small \theta\)の値になります。
\(\small \sin\theta\)は単位円上では\(\small y\)座標の値を表しています。
なので、単位円上で\(\small y\)座標が\(\small \displaystyle -\frac{1}{2}\)になっている点を探します。
すると、下図の赤丸で示した2箇所が該当する点だと分かります。ここが今回求める解の位置になります。

\(\small xy\)平面で以下のような直角三角形を考えると、 単位円は半径(斜辺)が1の円なので、
・\(\small \displaystyle \sin \theta = \frac{y}{\color{red}{斜辺}}=\frac{y}{\color{red}1}=\)y座標
・\(\small \displaystyle \cos \theta = \frac{x}{\color{red}{斜辺}}=\frac{x}{\color{red}1}=\)x座標
となります。
解の位置が特定できたら、斜辺とx軸を2辺に持つ直角三角形をそれぞれ書きます。

三角形がかけたら、その三角形が\(\small 1:2:\sqrt{3}\)または\(\small 1:1:\sqrt{2}\)のような角度が分かる三角形になっているはずなので、どの三角形に該当するかを確認しましょう。
今回であれば、\(\small 1:2:\sqrt{3}\)の三角形に該当することが分かります。
これが分かると、偏角(三角比の\(\small \theta\)にあたる角度)が分かるので、その角度を特定します。
今回であれば、辺の比の位置関係から、偏角は\(\small \displaystyle \frac{\pi}{6}\)と分かります。
.最後は、STEP2で特定した三角形をもとに、解の位置を表す角度を求めます。
このときに、注意すべきなのがどの範囲で解の角度を考えるかです。
三角関数は、周期性がある(0°や360°はいずれも1周分ずれているだけで同じ位置を表す)ため、角度の指定がない場合、その解の位置を表す角度は無限に存在してしまいます。
そのため、多くの問題では、「〇~△の範囲で角度を答えてね」という注意書きがあることがほとんどです。
今回の問題であれば、「\(\small -\pi ≦ \theta ≦\pi\)のとき」という注意書きがあるので、この範囲に該当する角度だけを答えましょう。

STEP2で求めた三角形から、x軸と半径の角度は\(\small \displaystyle \frac{\pi}{6}\)なので、\(\small \theta =-\pi\)(点\(\small (-1,0)\))から反時計回りに一周した範囲で赤丸になる角度は、
$$\small \displaystyle \color{red}{\theta =-\frac{5}{6}\pi, \space -\frac{\pi}{6} \space \cdots 【答】}$$
になります。

sinを含む三角方程式の解き方
例題1と解くべき方程式自体は一緒ですが、角度の範囲が異なっています。
なので、最後のSTEP3「範囲内の角度を求める」部分から解説します。
今回は \(\small 0≦\theta < 2\pi\)なので、該当する角度は、下図のように計算することで求められます。

ゆえに
$$\small \displaystyle \color{red}{\theta=\frac{7}{6}\pi, \space \frac{11}{6}\pi \space \cdots 【答】}$$
【補足】
それぞれの角度を求めるときには、例えば左下の赤丸であれば、半周となる\(\small \pi\)に今回の三角形の角度である\(\small \displaystyle \frac{\pi}{6}\)を足して\(\small \displaystyle \theta = \pi +\frac{\pi}{6}=\frac{7}{6}\pi\)のように計算すると簡単に求めることができます。
右下の赤丸であれば、今度は、1周となる \(\small 2\pi\)から\(\small \displaystyle \frac{\pi}{6}\)戻った位置になるので、\(\small \displaystyle \theta = 2\pi -\frac{\pi}{6}=\frac{11}{6}\pi\)と計算できます。
このように、半周(\(\small \pi\))と1周(\(\small 2\pi\))を基点に角度計算をすると楽になります。
cosを含む三角方程式の解き方
まずは、解の位置を特定します。
今回はcosの値を求める方程式なので、単位円のx座標が\(\small \displaystyle \frac{1}{2}\)の点を見ることになります。

次に、x軸と斜辺を含む三角形を特定します。
下図ような\(\small 1:2:\sqrt{3}\)の三角形なので、偏角が\(\small \displaystyle \frac{\pi}{3}\)であることが分かります。

最後に、範囲内の角度を求めます。今回は\(\small 0≦\theta <2\pi\)なので、下図のように計算することで
$$\small \displaystyle \color{red}{\theta=\frac{\pi}{3}, \space \frac{5}{3}\pi \space \cdots 【答】}$$

tanを含む三角方程式の解き方
tanを含む方程式は出題頻度は低めですが、定期テストなどでは絶対に出てくる問題なので、しっかりと覚えておきましょう。
まずは問題の式を
\begin{split}
\small \tan \theta = -\sqrt{3}\\
\end{split}
のように「三角比=数字」の形に変形しておきます。
では、STEP1として解の位置を特定します。sinはy座標、cosはx座標が解の位置でしたが、tanの場合はちょっと複雑で、「x座標が1、y座標がtanの値となる座標と原点を結ぶ直線が単位円と交わる点」が解の位置になります。
本問の場合を下図で説明すると、まず、\(\small \tan\theta\)の値が\(\small -\sqrt{3}\)なので、点\(\small (1,-\sqrt{3})\)と原点を結んだ直線はオレンジ色の直線になります。そして、この直線が単位円と交わる点である解1、解2(赤色の点)が解の位置になります。

【補足】この方法で\(\small \tan\theta\)の値が求まる理由
単位円上での\(\small \tan\theta\)の値は、下図を見ると定義から
$$\small \displaystyle \tan \theta = \frac{y}{x}$$
になります。
ここで、分母の\(\small x\)座標が1の場合、
$$\small \displaystyle \tan \theta = \frac{y}{1}=y$$
となるため、y座標の値がそのまま\(\small \tan\theta\)の値になります。
これを単位円上に図示すると、下図のようになります。
また、180°反対側の点も\(\small \displaystyle \tan \theta = \frac{y}{x}\)のx座標とy座標の符号が共に\(\small -x, -y\)に反転しますが、分数をとると
$$\small \displaystyle \tan \theta = \frac{-y}{-x}=\frac{y}{x}$$
で変わらないため、\(\small \tan\theta\)としては同じ値になります。
このことから、x座標が1、y座標が\(\small \tan\theta\)の値の点と原点を結ぶ直線が単位円と交わる点が\(\small \tan\theta\)の解の位置になります。
解の位置が特定できたので、次に三角形の偏角を特定すると、下図のような\(\small 1:2:\sqrt{3}\)の三角形であることから、偏角は\(\small \displaystyle \frac{\pi}{3}\)であることが分かります。

最後に、範囲内で角度を確認していきます。今回も\(\small 0≦\theta <2\pi\)の範囲なので、

$$\small \displaystyle \color{red}{\theta = \frac{2}{3}\pi, \space \frac{5}{3}\pi \space \cdots 【答】}$$
三角方程式の練習問題
sin・cos・tanのそれぞれで、三角方程式の解き方を解説してきました。
最後に問題演習をして理解度の確認をしておきましょう。
\(\small \displaystyle (1) \space \sin \theta = -\frac{\sqrt{2}}{2}\)
\(\small (2) \space 2\cos \theta +\sqrt{3}= 0\)
\(\small (3) \space \tan \theta =1\)
\begin{split}
& \small \displaystyle \sin \theta = -\frac{\sqrt{2}}{2}\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle \sin \theta = -\frac{\sqrt{2}\times \sqrt{2}}{2\times \sqrt{2}}\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle \sin \theta = -\frac{2}{2\sqrt{2}}\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle \sin \theta = -\frac{1}{\sqrt{2}}\\
\end{split}
と式変形しておくと、後々、三角形の偏角が特定しやすくなります(\(\small \sqrt{2}\)がある時点で45°の三角形と予想できますが…)。
解の位置は、\(\small \sin\theta\)の場合\(\small y\)座標\(\small \displaystyle= -\frac{1}{\sqrt{2}}\)の点になります。このとき、三角形は下図のような\(\small 1:1:\sqrt{2}\)の形なので、偏角は\(\small \displaystyle \frac{\pi}{4}\)になります。

よって、\(\small 0≦\theta<2\pi\)の範囲では求める角度は\(\small \displaystyle \theta = \frac{5}{4}\pi, \space \frac{7}{4}\pi\)…【答】.
まずは、「三角比=数字」の形に式変形すると
\begin{split}
& \small \displaystyle 2\cos \theta +\sqrt{3} =0\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle \cos \theta = -\frac{\sqrt{3}}{2}\\
\end{split}
解の位置は、\(\small \cos \theta\)の場合\(\small x\)座標\(\small \displaystyle= -\frac{\sqrt{3}}{2}\)の点になります。また、三角形は下図のような\(\small 1:2:\sqrt{3}\)の形なので、偏角は\(\small \displaystyle \frac{\pi}{6}\)になります。

よって、\(\small 0≦\theta<2\pi\)の範囲では求める角度は\(\small \displaystyle \theta = \frac{5}{6}\pi, \space \frac{7}{6}\pi\)…【答】.
解の位置は、点\(\small (1,1)\)と原点を結ぶ直線と単位円の交点なので、下図の赤点になります。

また、三角形は図のような\(\small 1:1:\sqrt{2}\)の形なので、偏角は\(\small \displaystyle \frac{\pi}{4}\)になります。
よって、\(\small 0≦\theta<2\pi\)の範囲では求める角度は\(\small \displaystyle \theta = \frac{\pi}{4}\pi, \space \frac{5}{4}\pi\)…【答】.
まとめ
今回は、三角方程式の解き方について解説しました。
三角方程式は、三角関数の最大・最小を求める問題の途中計算や三角関数を含む不等式を解くときにも絶対に必要になる重要な問題です。今回解説した単位円の書き方とそこから角度を求める3ステップの手順をしっかりと復習して、自力で解けるように問題演習をしておきましょう。
三角方程式の解き方が定着したら、三角方程式の応用問題にもチャレンジして実力アップを図っていきましょう。
今回は以上です。お疲れ様でした!


コメント