【数C】【式と曲線】楕円と直線(弦の長さ・中点の座標、最大値問題の解き方のコツ)

今回は2次曲線の1つである「楕円の方程式」で頻出の弦の長さや中点の座標を求める問題について徹底解説していきます。

一見簡単そうに見える問題ですが、解き方のコツを知らないと複雑な計算の罠にハマってしまい、試験時間内に解き終わらなかったり、明らかに変な答えになってしまって計算ミスがないかを探す…といった事態に陥ってしまいます。

逆に、解き方のコツさえ知っておけば、計算も楽になり受験でも差をつけられる分野なので、本記事のコツを一緒にチェックしていきましょう!

 本記事はこんな人におすすめ
  • 楕円で切り取られた弦の長さを求める問題が苦手な人
  • 計算が複雑すぎて手が止まってしまう
  • 解き方のコツが知りたい人
  • 楕円の方程式の応用問題に挑戦したい人
 本記事のレベル
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本記事の要点

楕円で切り取られた弦の長さと中点の座標を求める問題の解き方のコツを、一言でまとめると以下の通り。

重要Point
・具体的な交点の座標は求めるな
・2次方程式の解と係数の関係をうまく活用しよう!

では、実際に問題を解きながら理解を深めていきましょう!

【問題&解説】楕円と直線の方程式の問題

【問題1】楕円で切り取られた弦の長さ

問題1:楕円で切り取られた弦の長さ

楕円 \(\small \displaystyle x^2+\frac{y^2}{5}=1\)が直線 \(\small y=2x+1\)によって切り取られる弦の長さ\(\small L\)を求めよ。

問題解決のKey
・楕円と直線の交点の座標は解と係数の関係を活用しよう!
 ※複雑な形になることが多いので…
・弦の長さは三平方の定理を使ってもよいが、相似比を使うと瞬殺
 解説

まずは求める弦の長さのイメージを掴むため、簡単なグラフを描きましょう。グラフ描かなくても解けるけど、視覚的なヒントを得られるので個人的には絶対必須です(特に応用問題になるほど図形的な発想から解くことが多い感覚)!

グラフからも分かるように今回求める弦の長さ\(\small L\)は赤線部分の長さです。斜め線の距離を求めるときは一般的に端点の座標から三平方の定理を使うのが定石ですが、あとで解説しますが、今回はその解法だと計算が大変過ぎて計算用紙とシャーシンがもったいないので、もっと楽ちんな方法で解いていきます。

とりあえずは、交点の座標を求めるときと同様に楕円と直線の方程式を連立すると

\begin{cases}
\small \displaystyle x^2+\frac{y^2}{5}=1\\
\small y=2x+1\\
\end{cases}

\begin{split}
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle 5x^2+(2x+1)^2=5\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle 9x^2+4x-4=0\quad\cdots①\\
\end{split}

ここで、普通に解こうとすると交点の座標を求めたいので、①の2次方程式を解くことになりますが、基本的に楕円と直線の方程式を連立して得られる2次方程式の解は、解の公式を使わないといけないくらいぐちゃぐちゃしています。

●補足
実際に①の2次方程式を解いて交点の\(\small x\)座標を求めると
$$\small \displaystyle x=\frac{-2\pm2\sqrt{10}}{9}$$
であり、これを\(\small y=2x+1\)に代入して交点の\(\small y\)座標を求めた後に、三平方の定理で弦の長さを求めるのは大変…。

なので一旦①の2次方程式はおいといて、交点の座標から弦の長さを求める式について考えます。

交点の座標を\(\small x_1、x_2\)(ただし、\(\small x_1<x_2\))とします。変な不等号の条件を付けましたが、つまり下図のように置いたよってこと。

では、交点の座標\(\small x_1,x_2\)を使って弦の長さを表すことを考えてみましょう。

何通りか求め方はありますが、個人的には三角比を使うと瞬殺できるのでおすすめ。王道の三平方の定理を使ってももちろんOK(解説はこちらに載せときます)。

直線の傾きが2というのは、\(\small x\)方向に1進むと\(\small y\)方向に2上がるということなので、\(\small 1:2:\sqrt{5}\)の三角形ができます(下図の青三角形)。

すると、上図の通り弦の長さ\(\small L\)を含む赤色三角形は、\(\small 1:2:\sqrt{5}\)の青色三角形と相似になるので、斜辺(=弦の長さ)は

\begin{split}
& \small 1:\sqrt{5}=(x_2-x_1):L\\
& \small ∴\space L=\sqrt{5}(x_2-x_1)\quad \cdots ②\\
\end{split}

と求まります。

●補足:三平方の定理を使った解法
交点の座標は、\(\small (x_1,2x_1-1),(x_2,2x_2-1)\)となるので、三平方の定理より
\begin{split}
& \small L^2=(x_2-x_1)^2+\{(2x_2-1)-(2x_1-1)\}^2\\
& \small L^2=(x_2-x_1)^2+4(x_2-x_1)^2\\
& \small L^2=5(x_2-x_1)^2\\
&\small ∴\space L=\sqrt{5}(x_2-x_1)\\
\end{split}

この結果からわかることは、弦の長さを求めるには、交点の\(\small x\)座標の差だけ分かればOKということ。差が分かれば式②に代入して弦の長さが求まりますからね。

ということで、①の2次方程式の解が交点の\(\small x\)座標、すなわち\(\small x_1、x_2\)ですので、解と係数の関係から解の差を計算できそうです。

解と係数の関係より

\begin{cases}
\displaystyle \small x_1+x_2=-\frac{4}{9}\\
\displaystyle \small x_1x_2=-\frac{4}{9}\\
\end{cases}

●補足:解と係数の関係
2次方程式 \(\small ax^2+bx+c=0\)(ただし\(\small a \neq 0\))の解を\(\small \alpha, \beta\)としたとき、
\begin{cases}
\displaystyle \small \alpha+\beta=-\frac{b}{a}\\
\displaystyle \small \alpha \beta=\frac{c}{a}\\
\end{cases}
が成り立つ。
※忘れちゃっても、最悪 \(\small a(x-\alpha)(x-\beta)=0\)を展開して \(\small ax^2+bx+c=0\)と係数比較することで上記の関係式を導けます。

よって、解の差は、

\begin{split}
\small (x_2-x_1)^2 & \small =(x_1+x_2)^2-4x_1x_2\\
& \small=\left(-\frac{4}{9}\right)^2-4\cdot \left(-\frac{4}{9}\right)\\
& \small=\frac{16}{81}+\frac{16}{9}\\
& \small=\frac{160}{81}\\
\end{split}

ゆえに、\(\small \displaystyle x_2-x_1=\frac{4\sqrt{10}}{9}\)。

この結果を②に代入することで、\(\small \displaystyle L=\frac{20\sqrt{2}}{9}\)…【答】.

【問題2】弦の中点の座標

問題2:弦の中点の座標

楕円 \(\small \displaystyle \frac{x^2}{3}+\frac{y^2}{2}=1\)と直線 \(\small y=-x+1\)が交わってできる弦の中点の座標を求めよ。

問題解決のKey
・交点の座標は求めるな解と係数の関係を活用しよう。
 解説

まずは呼吸をするようにグラフを描いていきましょう。今回求める中点は上図の点\(\small M\)になります。

交点の座標を求めるために、楕円と直線の方程式を連立させると

\begin{cases}
\small \displaystyle \frac{x^2}{3}+\frac{y^2}{2}=1\\
\small y=-x+1\\
\end{cases}

\begin{split}
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle 2x^2+3(-x+1)^2=6\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle 5x^2-6x-3=0\quad\cdots①\\
\end{split}

①の2次方程式を解いて交点の座標を求めるのは大変なので、一旦中点の座標を求める式について考える。

交点の座標を\(\small x_1、x_2\)(ただし、\(\small x_1<x_2\))とすると、中点の\(\small x\)座標は、\(\small \displaystyle x=\frac{x_1+x_2}{2}\)で求まる。

つまり、中点の座標を求めるには、交点の座標の和(\(\small x_1+x_2\))が分かっていれば求まるということが分かった。

【交点の座標の和】=【①の2次方程式の2解の和】なので、解と係数の関係から、

$$\small \displaystyle x_1+x_2=\frac{6}{5}$$

よって、中点の\(\small x\)座標は、

$$\small \displaystyle \frac{x_1+x_2}{2}=\frac{3}{5}$$

中点\(\small M\)は\(\small y=-x+1\)上の点なので、\(\small y\)座標は\(\small y=-x+1\)に代入することで、\(\small \displaystyle y=-\frac{3}{5}+1=\frac{2}{5}\)。

よって、中点の座標は、\(\small \displaystyle M\left( \frac{3}{5},\frac{2}{5}\right)\)…【答】

【問題3】弦の長さから方程式の決定

問題3:弦の長さから方程式の決定

楕円 \(\small \displaystyle \frac{x^2}{9}+\frac{y^2}{4}=1\)が直線 \(\small y=2x+k\)によって切り取られる弦の長さが4のとき実数\(\small k\)の値を求めよ。

問題解決のKey
・弦の長さを解と係数の関係を使って表す
 解説

楕円と直線の方程式を連立すると

\begin{cases}
\small \displaystyle \frac{x^2}{9}+\frac{y^2}{4}=1\\
\small y=2x+k\\
\end{cases}

\begin{split}
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle 4x^2+9(2x+k)^2=36\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle 40x^2+36kx+9k^2-36=0\quad\cdots①\\
\end{split}

①の2解を\(\small x_1, x_2\)(\(\small x_1,<x_2\))とすると、解と係数の関係から

\begin{split}
\small (x_2-x_1)^2 & \small =(x_1+x_2)^2-4x_1x_2\\
& \small =\left(-\frac{36}{40}k\right)^2-4\cdot \frac{9k^2-36}{40}\\
\small ∴ \space (x_2-x_1)^2 & \small =-\frac{9}{100}k^2+\frac{18}{5}\quad \cdots ②\\
\end{split}

ここで、楕円によって切り取られる弦の長さを楕円と直線の交点の\(\small x\)座標、\(\small x_1,x_2\)で表すと、\(\small \sqrt{5}(x_2-x_1)\)となることから

\begin{split}
& \small \sqrt{5}(x_2-x_1)=4\\
\small \Leftrightarrow \space & \small 5(x_2-x_1)^2=16\\
\end{split}

右辺の\(\small (x_2-x_1)^2\)に②を代入すると

\begin{split}
\small 5\left(-\frac{9}{100} \right. & \small \left. k^2+\frac{18}{5}\right) =16\\
\small \Leftrightarrow \space \frac{9}{20}k^2 & \small =2\\
\small \Leftrightarrow \space k^2 & \small =\frac{40}{9}\\
\small \Leftrightarrow \space \color{red}k & \small \color{red}{= \pm \frac{2\sqrt{10}}{3} \cdots 【答】}\\
\end{split}

【問題4】弦の長さの最大値

問題4:弦の長さの最大値

点 \(\small \mathrm{A}(0,-1)\)を通る直線と楕円 \(\small \displaystyle \frac{x^2}{4}+y^2=1\)との交点を\(\small \mathrm{P}\)とするとき、弦\(\small \mathrm{AP}\)の長さの最大値とそのときの点 \(\small \mathrm{P}\)の座標を求めよ。

問題解決のKey
・点\(\small \mathrm{A}\)を通る直線の方程式を\(\small y=mx-1\space (m \neq 0)\)とおいて弦の長さを\(\small m\)を用いて表すこともできるが、複雑な式になってしまい最大値を求めるために微分をすることを考えると計算が煩雑…。
 ※詳細は補足で解説
・点\(\small \mathrm{P}(s,t)\)とおいて、弦の長さを\(\small s\)または\(\small t\)で表すことで2次方程式の最大・最小問題に帰着できることに気づけるかがポイント。
 解説

点\(\small \mathrm{P}\)の座標を\(\small (s,t)\)とおく。

点\(\small \mathrm{P}\)は楕円\(\small \displaystyle \frac{x^2}{4}+y^2=1\)上の点なので、

\begin{split}
& \small \frac{s^2}{4}+t^2=1\\
\small \Leftrightarrow \space & \small s^2=4-4t^2 \quad \cdots ①\\
\end{split}

ここで、弦\(\small \mathrm{AP}\)の長さを\(\small s,t\)で表すと

\begin{split}
& \small \mathrm{AP}^2=s^2+(t+1)^2\\
\end{split}

①を代入すると

\begin{split}
\small \mathrm{AP}^2 & \small =\color{#ef5350}{(4-4t^2)}+(t+1)^2\\
& \small =-3t^2+2t+5\\
\end{split}

ここで、\(\small t\)は点\(\small \mathrm{P}\)の\(\small y\)座標なので、グラフから\(\small -1≦t≦1\)の値をとることに注意すると、\(\small \mathrm{AP}\)が最大となるとき\(\small \mathrm{AP}^2\)も最大となるので、「\(\small \mathrm{AP}\)の最大値を求める」という問題は、「\(\small -1≦t≦1\)の範囲で\(\small \mathrm{AP}^2=-3t^2+2t+5\)の最大値を求める」問題に帰着できる。

よって、

\begin{split}
\small \mathrm{AP}^2 & \small =-3t^2+2t+5\\
& \small =-3\left(t-\frac{1}{3}\right)^2+\frac{16}{3}\\
\end{split}

より、\(\small \displaystyle t=\frac{1}{3}\)のとき最大値\(\small \displaystyle \mathrm{AP}^2=\frac{16}{3}\),すなわち \(\small \displaystyle \mathrm{AP}=\frac{4\sqrt{3}}{3}\)…【答】をとる。

このときの点\(\small \mathrm{P}\)の座標は、\(\small s,t\)の値なので、\(\small \displaystyle t=\frac{1}{3}\)を①に代入して

\begin{split}
\small s^2 & \small =4-4\left(\frac{1}{3}\right)^2\\
\small \Leftrightarrow \space s^2 & \small =\frac{32}{9}\\
\small ∴ \space s & \small = \pm \frac{4\sqrt{2}}{3}\\
\end{split}

より、\(\small \displaystyle \mathrm{P}\left(\frac{4\sqrt{2}}{3},\frac{1}{3}\right),\space \left(-\frac{4\sqrt{2}}{3},\frac{1}{3}\right)\)…【答】

●補足:直線の傾きを\(\small m\)とおく解法は?
問題1のように直線の傾きを\(\small m\)とおき、\(\small y=mx-1\)と楕円の方程式を連立させることで、弦の長さを\(\small m\)で表すことで、求めることができないのかを考えてみる。
\begin{cases}
\small \displaystyle \frac{x^2}{4}+y^2=1\\
\small y=mx-1\\
\end{cases}
\begin{split}
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle x^2+4(mx-1)^2=4\\
\small \Leftrightarrow \space & \small \displaystyle (4m^2+1)x^2-8mx=0\quad\cdots①\\
\end{split}
より、点\(\small \mathrm{P}\)の\(\small x\)座標は\(\small \displaystyle \frac{8m}{4m^2+1}\)。

よって、\(\small \displaystyle \mathrm{AP}=\frac{8|m|\sqrt{m^2+1}}{4m^2+1}\)(上図青色三角形と赤色三角形の相似を利用)。

これで弦\(\small \mathrm{AP}\)を\(\small m\)で表せたので、あとは\(\small \mathrm{AP}\)を\(\small m\)の関数とみなして微分して最大値を求めていければよい…、けど、明らかに計算が鬼畜難易度という感じ。この時点で別の解法を考えた方がよさそうです。

ただ、この方法でももちろん解くことはできて、若干計算を楽にするために両辺を2乗した
$$\small \mathrm{AP}^2=\frac{64m^2(m^2+1)}{(4m^2+1)^2}$$
で考えても最大値をとる\(\small m\)の値は変わらないので、この式を微分する(ルートの計算が面倒なので2乗した)と、
\begin{split}
\small \frac{d\mathrm{AP}^2}{dm}=\frac{m(4m^2+1)(2-4m^2)}{(4m^2+1)^4}\\
\end{split}
となるので、\(\small \displaystyle \)
\begin{split}
&\small \frac{d\mathrm{AP}^2}{dm}=0\\
\small \Leftrightarrow \space &\small 2-4m^2=0 \space (∵\space m \neq 0)\\
\small \Leftrightarrow \space &\small m=\pm\frac{1}{\sqrt{2}} \space (∵\space m \neq 0)\\
\end{split}
増減表は以下の通り。

よって、最大値は\(\small \displaystyle \frac{4\sqrt{3}}{3}\)
また、点\(\small \mathrm{P}\)の座標も\(\small x\)座標の\(\small \displaystyle \frac{8m}{4m^2+1}\)に\(\small \displaystyle m=\pm\frac{1}{\sqrt{2}}\)を代入することで求めることができる。

Point
微分を使えば最大最小値問題は解けるが計算が複雑になることも多いので、計算前に他に楽な方法がないかを検討するようにしましょう。

本記事のまとめ

今回は楕円と直線によって作られる弦の長さや弦の中点に関する問題について解説しました。

何も知らないと楕円と直線の交点を求めて三平方の定理で弦の長さを求めてしまいがちですが、本記事でコツを学んだ皆さんは、もし同じ問題を見かけたら「解と係数の関係でいけるな」とほくそ笑みましょう。

以上です。

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