今回は、対数とは何かを基礎からわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、「対数とは結局どういう意味?」「対数の公式はなぜ成り立つの?」「具体的に対数はどのように計算するの?」といった疑問が解消できます。
また、記事の後半では、対数が日常生活でどのように使われているのかも具体例を通して紹介します。最後まで読むことで、対数の考え方をしっかり理解できる内容になっているので、ぜひチェックしてみてください。
対数の意味
対数はなぜ必要?
対数について詳しく説明する前に、そもそもなぜ対数という考え方が生まれたのかを、紙芝居形式で見ていきましょう。
昔々あるところに、こんなことを考える数学者がいました。
市民 :「2の3乗を計算したらいくつになる?」
数学者:「2の3乗は8になる。2×2×2というように、2を3回掛け算することで計算できる。」
市民 :「なるほど!今度は逆に、1024が2の何乗になるか教えて。」
数学者:「それは2の10乗だね。2を10回掛けると1024になるからだ。」
市民 :「最後に、10が2の何乗になるか教えて!」
数学者:「えっと…(答えられない)」
もちろんこれは作り話ですが、「10が2の何乗か」のような問題は、当時の数学ではうまく表すことができませんでした。そこで、「ある数を何乗するとどんな数になるのか」を一般的に表す方法が考えられるようになりました。そして、この課題を解決するために生まれたのが、「対数」という考え方です。
数学者:「さっきの問題だけど、10は『\(\small \log_2 10\) 乗』と表すことにしたよ。」
市民 :「なるほど?…(\(\small \log\)ってなんだ?)」
対数に関する用語の意味
・対数:何乗するかを表す数字(指数)のこと。
・底 :何乗のもとになる数字のこと。
・真数:実際の計算結果のこと。

前章で\(\small \log_2 10\)は、「2を何乗したら10になるか?」という問いに対して明確な指数が定義できなかったため、「\(\small \log_2 10\)」乗という対数が生まれたと解説しました。
この経緯からも分かる通り、\(\small \log_2 10\)の底である「2」は、「何乗するかのもとになる数字」を表しています。また、真数である「10」は、「計算結果の数字」を表していることも分かるでしょう。そして、実際に何乗するかという指数部分が、\(\small \log_2 10\)(対数)というわけです。
対数だと分かりにくいという人は、指数の形で理解すると少し分かりやすいかもしれません。
『2を\(\small \log_2 10\)乗すると10になる』という関係性が成り立つので、
$$\small 2^{\log_2 10}=10$$
となります。

関係式を日本語化すると、底の対数乗が真数となります。対数と指数は同じ意味というのがポイントです。
同じことを少し別の角度から説明をするならば、\(\small 2^x = 10\)という方程式があったときに、この解は\(\small x=\log_2 10\)になります。なぜならば、そもそも\(\small \log_2 10\)は、2を何乗したら10になるかを表す数字だからです。
言葉遊びみたいになってしまいましたが、いろいろな角度から対数の意味を説明してみました。
自分の中で、しっくりくる説明の方法で覚えてみてください。
実際の計算は関数電卓で\(\small \log_2 10\)を計算すると、\(\small \log_2 10 = 3.3219\cdots\)とでてきます。2を、\(\small 3.3219\cdots\)乗すると、10になるということですね。
この数字は確かに、2の3乗が8で10未満、2の4乗が16で10より大きくなるので、感覚的にも指数としては3と4の間の数字になりそうだということは予想できます。
ここで注目してほしいのは、\(\small \log_2 10\)を具体的な数字で表そうとすると規則性のない無限桁の小数になっているという点です。このような数字は無理数と呼ばれてます(ルートや円周率と同じ)。
無理数は、有限桁の小数や分数などで表すことができないので、対数(\(\small \log\))という新しい概念が登場することになったわけです。
対数の公式
対数の公式は、前章で説明した対数の成り立ちを考えると簡単です。
(公式2) \(\small \displaystyle \log_a\frac{M}{N} = \log_aM-\log_aN\)
(公式3) \(\small \log_a M^n = n\log_aM\)
\(\small \log\)の式だとややこしいので、『底の対数乗が真数』の関係式に直して考えてみましょう。

まず公式1から考えていきます。\(\small \log_a M\)は『\(\small a\)を\(\small \log_a M\)乗すると\(\small M\)』になるということなので、
$$\small a^{\log_aM}=M \space \cdots ①$$
と表すことができます。
\(\small\log_aN\)と\(\small\log_aMN\)も同様に考えると、
$$\small a^{\log_aN}=N \space \cdots ②$$
$$\small a^{\log_aMN}=MN \space \cdots ③$$
となります。
ここで、③の右辺\(\small MN\)に①、②を代入すると
\begin{split}
&\small a^{\log_aMN}=MN \\
\small \Leftrightarrow \space &\small a^{\log_aMN}=a^{\log_aM}\cdot a^{\log_aN} \\
\small \Leftrightarrow \space &\small a^{\log_aMN}=a^{\log_aM+\log_aN}\\
\end{split}
最後の式は、「\(\small a^●=a^■\)」の形をしているので、両辺が等しいということは当然指数部分が等しくなるので、\(\small ●=■\)が成り立つことから、
$$\small \log_aMN=\log_aM+\log_aN$$
が成り立つことが分かります。これは公式1そのものになっています。つまり、公式1は、ただ単に同じ底の数を掛け算すると指数部分は足し算になるという指数法則を対数を使って表しただけだと分かります。
公式2も公式1と同様に考えると、指数法則 \(\small \displaystyle a^x÷a^y=\frac{a^x}{a^y}=a^{x-y}\)(同じ底の数を割り算すると指数部分は引き算になる)から公式が成り立つことが分かります。
公式3も同様で、指数法則 \(\small (a^x)^n=a^{nx}\)(\(\small n\)乗すると指数は\(\small n\)倍になる)と同じことを意味しています。
このように、指数法則と対応づけて覚えておくと理解しやすくなります。
対数の公式が指数法則を言い換えただけの公式なら、なぜ対数が必要になるのでしょうか?
一つは、記事の冒頭の例にもある『\(\small 2\)を何乗したら\(\small 10\)になるか』を指数で表そうとすると、指数が切の良い数字では表せないため、数学的な定義として必要だからです。
それ以外にも対数には数値計算上、次のようなメリットがあります。
・指数の掛け算・割り算が、対数では足し算・引き算に置き換わるため計算が容易になる
・数値計算で指数を使うと桁あふれを起こしやすいが、対数であれば数値が大きくなりにくいため、桁あふれを防げる
・指数部分が複雑な式の場合、指数表記だと式が小さく見づらいが、対数表記であれば式が見やすくなる
1つだけ具体例として\(\small 2^{100}÷2^{98}\)を計算する場合を考えてみます。計算機で\(\small 2^{100}\)と\(\small 2^{98}\)を計算して割り算しようとすると桁数が多すぎて桁あふれ(計算結果が、計算機上で表示できる桁数を超えてしまうこと。例えば、3桁までしか表示できない電卓の場合、1200を入力すると4桁目はあふれてしまい、200と表示されてしまう現象)を起こします。
そこで、計算時に\(\small 2^{100}÷2^{98}\)の対数をとり、対数の公式2、3を利用して計算すると、
\begin{split}
&\small \log_2 (2^{100}÷2^{98})\\
&\small =\log_2 2^{100}-\log_2 2^{98}\\
&\small =100-98\\
&\small =2\\
\end{split}
となり、たかだか3桁引く2桁の計算になります。そして、\(\small \log_2 (2^{100}÷2^{98})=2\)であることから、答えは4と無事計算することができます。
このようなメリットがあるため、対数は桁数の大きい指数の計算をする際に利用されています。
対数の公式を利用した計算問題
対数の意味と公式の理解度を演習問題で確認していきましょう。
【問題1】対数の定義
(1)\(\small \log_2 8\)
(2)\(\small \displaystyle \log_\frac{1}{3} \frac{1}{81}\)
(3)\(\small \displaystyle \log_\sqrt{2} 16\)
数式で考える場合は、『\(\small \log_\color{#008304}{底}\)真数=対数』は、『底\(\small \displaystyle ^{\color{blue}{対数}}=\)真数』となる。
\(\small \log_2 8\)は『2を何乗したら8になるか』を表す数なので、\(\small 8=2^3\)となることから、\(\small \log_2 8=3\)…【答】.
\(\small \displaystyle \log_\frac{1}{3} \frac{1}{81}\)は『\(\small \displaystyle \frac{1}{3}\)を何乗したら\(\small \displaystyle \frac{1}{81}\)になるか』を表す数なので、\(\small \displaystyle \frac{1}{81}=\left(\frac{1}{3}\right)^4\)となることから、\(\small \displaystyle \log_{\frac{1}{3}} \frac{1}{81}=4\)…【答】.
\(\small \log_\sqrt{2} 16\)は『\(\small \sqrt{2}\)を何乗したら16になるか』を表す数なので、\(\small 16=2^4=\{(\sqrt{2})^2\}^4=(\sqrt{2})^8\)となることから、\(\small \log_\sqrt{2} 16=8\)…【答】.
【問題2】対数の計算(公式の利用)
(1)\(\small \displaystyle \log_2 \frac{4}{3}+\log_2 24\)
(2)\(\small \displaystyle 6\log_3 \sqrt{6}-\log_{3}8\)
対数の公式1を使うことで
\begin{split}
\small \log_2 \frac{4}{3}+\log_2 24 &\small = \log_2 \left(\frac{4}{3}\cdot 24\right)\\
&\small = \log_2 32\\
&\small = \color{red}{5 \space \cdots 【答】}\\
\end{split}
一見すると対数の公式2
$$\small \log_a M-\log_a N = \log_a \frac{M}{N}$$
が使えそうですが、第1項目が \(\small \color{#ff0055}6\log_3 \sqrt{6}\)のように対数の前に数字がついているため、このままだと公式2が使えません。
そこで、まずは対数の公式3を利用して対数の前についている数字を真数部分に取り込むと
\begin{split}
\small 6\log_3 \sqrt{6} &\small =\log_3 (\sqrt{6})^6 \space ◀n\log_a M=\log_a M^n\\
&\small =\log_3 (6^{\frac{1}{2}})^6\\
&\small =\log_3 6^3\\
\end{split}
となり、対数の前に数字がない状態に変形できたので、この状態で公式3を利用することで
\begin{split}
\small \log_3 6^3 -\log_3 8 &\small =\log_3 \frac{6^3}{8}\\
&\small =\log_3 27\\
&\small =\color{red}{3 \space \cdots【答】}\\
\end{split}
【問題3】対数の計算(式の値)
(1)\(\small \log_{10} 3\sqrt{2}\)
(2)\(\small \log_{10} 5\)
\(\small \log_{10}2\)、\(\small \log_{10}3\)の形を意識して真数部分を分解しよう。
公式1を用いて真数部分を分解すると
\begin{split}
\small \log_{10} 3\sqrt{2} &\small =\log_{10} 3 +\log_{10} \sqrt{2}\\
&\small =\log_{10} 3 +\log_{10} 2^{\frac{1}{2}}\\
\end{split}
\(\small \log_{10} 2^{\frac{1}{2}}\)の真数部分にある指数を公式3を用いて外に出すと
\begin{split}
\small (与式) &\small =\log_{10} 3 +\frac{1}{2}\log_{10} 2 \\
&\small =\color{red}{\frac{1}{2}p+q \space \cdots 【答】}\\
\end{split}
一見すると\(\small \log_{10} 5\)の真数部分に\(\small 2,3\)がなく、\(\small \log_{10}2\)や\(\small \log_{10}3\)を作り出すのが難しそうだが、\(\small \displaystyle 5 = \frac{10}{2}\)と式変形することで
\begin{split}
\small \log_{10} 5 &\small =\log_{10} \frac{10}{2}\\
&\small =\log_{10} 10- \log_{10} 2 \space ◀公式2\\
&\small =\color{red}{1-p \space \cdots 【答】}
\end{split}
対数の実用例
では、最後に対数が実生活でどのように使われるのかを問題を通して確認していきます。
#体内の大腸菌が1万個を超えた時点で、感染症を発症するものとする。
#分裂速度は、好条件下として考える。
#\(\small \log_{10} 2=0.301\)とする。
実社会では、細菌の増殖スピードを計算する際に、対数が使われています。では、感染症を引き起こすまでにかかる時間を実際に計算してみましょう。
感染時間を求めるには、大腸菌が1万個を超えるまでの分裂回数が分かればをよいです。そこで分裂回数を\(\small n\)回とします。20分で1回分裂して2倍になるので、大腸菌の個数は100×2=200個になります。開始から40分後には、2回分裂しているので100×\(\small 2^2\)=400個、1時間後には、3回分裂しているので、100×\(\small 2^3\)=800個になります。よって、n回分裂した場合は、\(\small 100×2^n\)となるので、これが1万を超えるという式を立てると
$$\small 100×2^n ≧ 10000$$
です。整理すると
$$\small 2^n ≧ 100$$
この式の両辺の対数をとると、
$$\small \log_{10} 2^n ≧ \log_{10} 100$$
対数の公式3を使うと、
\begin{split}
&\small \log_{10} 2^n ≧ \log_{10} 10^2\\
\small \Leftrightarrow \space &\small n\log_{10} 2 ≧ 2\log_{10} 10\\
\end{split}
\(\small \log_{10} 2\)は正なので、
$$\small n ≧ \frac{2\log_{10} 10}{\log_{10} 2}$$
ここで、\(\small \log_{10} 10=1\)なので、
$$\small n ≧ \frac{2}{\log_{10} 2}$$
問題文の条件より\(\small \log_{10} 2=0.301\)を代入すると
\begin{split}
&\small n ≧ \frac{2}{0.301}\\
&\small n ≧ 6.64 \cdots \\
\end{split}
分裂回数は自然数なので、7回目の分裂で大腸菌数が1万をこえることになります。よって、7回の分裂にかかる時間は、20分が\(\small \displaystyle \frac{1}{3}\)時間なので、\(\small \displaystyle\frac{7}{3}\)時間、つまり、2時間20分後…【答】と求めることができます。
本記事のまとめ
今回は対数の公式と計算方法、実生活にどのように使われているかを解説しました。対数ははじめは少しややこしく感じると思ますが、問題演習を重ねるうちに自然と慣れてくるので、サクッと計算できるようになるまで練習するようにしましょう。
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・対数方程式の解き方(真数条件、底の変換公式の利用、2乗を含む式、連立方程式)
今回は以上です。お疲れさまでした!



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