今回は、図形と方程式の分野の中でも苦手な人が多い、方程式の軌跡を求める問題について徹底解説していきます。
数学の問題では通常、関数の最大値や方程式の交点の座標など、何かの値を求めることが一般的ですが、軌跡の分野は他とは異なり、求めるのは条件を満たす方程式です。これが、軌跡の問題を解くときに「何を求めてるんだっけ?」と路頭に迷ってしまう要因ではないかと個人的には思っています…【講義2】。
本記事ではそんな悩みを解消すべく、方程式の軌跡を求めるときの基本的な考え方から問題を解くコツまでわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までチェックしていきましょう!
- 軌跡の問題が苦手な人
- 軌跡の求め方・考え方が知りたい人
- 軌跡の問題の定期テスト対策・受験対策がしたい人
本記事の要点
最初に本記事の結論をお伝えします。
☆重要Point☆
・求める座標を\(\small (X,Y)\)とおく。
・変化する文字(動点や媒介変数)を、関係式を用いて消去することで軌跡が求まる。
・計算途中で場合分けする場合は、除外点の存在に注意しよう。
では、上記の結論を頭の片隅に置きながら、方程式の軌跡の求め方について、問題を通して理解を深めていきましょう。
【理解必須】軌跡の基本問題
問題演習の前に軌跡を解く際の考え方についておさらいしておきたい人は、はじめに【講義3】を確認してから問題に取り組むのがおすすめです!
【問題1】条件が与えられた軌跡(難易度:★)
点\(\small \mathrm{A}(-2,0)\)、点\(\small \mathrm{B}(4,0)\)に対して、\(\small \mathrm{AP}^2+\mathrm{BP}^2=24\)を満たす点\(\small \mathrm{P}\)の軌跡を求めよ。
・\(\small X,Y\)の紐づけは、条件式を活用せよ。
求める点\(\small \mathrm{P}\)の座標を\(\small \mathrm{P}(X,Y)\)とおく。
三平方の定理より
\begin{split}
\small \mathrm{AP}^2 & \small =(X+2)^2+Y^2\\
& \small =X^2+4X+Y^2+4\\
\end{split}
\begin{split}
\small \mathrm{BP}^2 & \small =(X-4)^2+Y^2\\
& \small =X^2-8X+Y^2+16\\
\end{split}
より、
\begin{split}
&\small \mathrm{AP}^2+ \mathrm{BP}^2=24\\
\Leftrightarrow \space &\small (X^2+4X+Y^2+4)\\
&\small \quad + (X^2-8X+Y^2+16)=24\\
\Leftrightarrow \space &\small X^2-2X+Y^2=2\\
\Leftrightarrow \space &\small (X-1)^2+Y^2=3\\
\end{split}
よって、求める軌跡は、\(\small (x-1)^2+y^2=3\)、すなわち、中心\(\small (1,0)\)、半径\(\small \sqrt{3}\)の円…【答】。
●軌跡の問題の答え方
「軌跡」とは「ある条件を満たす点が作りだす図形」のことなので「~の軌跡を求めよ」という問題は、「~となる図形を求めよ」という意味だと考えると、答え方もこんな図形ですよ、と答えるのが無難。本問のように円の方程式が答えになる場合は、中心座標と半径を、\(\small y=ax+b\)のような答えであれば、「直線\(\small y=ax+b\)」のように答えてあげましょう【講義1】。
【問題2】中点の軌跡(難易度:★)
点\(\small \mathrm{P}\)が直線\(\small y=x+2\) 上を動くとき、点\(\small \mathrm{A}(1,5)\)と点\(\small \mathrm{P}\)を結ぶ線分\(\small \mathrm{AP}\)の中点\(\small \mathrm{M}\)の軌跡を求めよ。
・動く点は文字で置き、最終的に消去することで軌跡が求まる。
求める中点の座標を\(\small \mathrm{M}(X,Y)\)とおく…①。
点\(\small \mathrm{P}\)が直線\(\small y=x+2\) 上を動くという条件から、点\(\small \mathrm{P}\)の\(\small x\)座標を\(\small t\)とおくと、\(\small y\)座標は、\(\small y=t+2\)となるので、\(\small \mathrm{P}(t,t+2)\)。
ここで、点\(\small \mathrm{M}\)は点\(\small \mathrm{A}(1,5)\)と\(\small \mathrm{P}(t,t+2)\)の中点であることから、
\begin{split}
&\small \mathrm{M}\left( \frac{1+t}{2},\frac{5+(t+2)}{2}\right)\\
\small \Rightarrow \space &\small \color{#ff6900}{\mathrm{M}\left( \frac{t+1}{2},\frac{t+7}{2}\right)}\\
\end{split}
$$\color{red}{\small \left(\frac{x_1+x_2}{2},\frac{y_1+y_2}{2}\right)}$$
これが、冒頭の①と一致することから、
\begin{cases}
\small X=\dfrac{t+1}{2}\\
\small Y=\dfrac{t+7}{2}\\
\end{cases}
上記の連立方程式から変数\(\small t\)を消去しよう。
\begin{split}
&\small 2X=t+1\\
\Rightarrow \space &\small t=2X-1\\
\end{split}
より、\(\small \displaystyle Y=\dfrac{t+7}{2}\)に代入することで
\begin{split}
\small Y& \small =\dfrac{t+7}{2}\\
\small Y& \small =\dfrac{(2X-1)+7}{2}\\
∴\space \small Y& \small =X+3\\
\end{split}
よって、求める軌跡は、直線 \(\small y=x+3\cdots \mathbf{【答】}\)。
【問題3】内分点の軌跡(難易度:★★)
点\(\small \mathrm{A}(4,8)\)と放物線 \(\small y=-x^2\)上の動点\(\small \mathrm{P}\)を結ぶ線分\(\small \mathrm{AP}\)を\(\small 1:3\)に内分する点の軌跡を求めよ。
●内分点の公式
2点\(\small (x_1,y_1)、(x_2,y_2)\)を\(\small m:n\)に内分する点の座標は
$$\small \left(\frac{nx_1+mx_2}{m+n},\frac{ny_1+my_2}{m+n}\right)$$
\(\small y=-x^2\) 上の動点の\(\small x\)座標を\(\small t\)とおくと、動点\(\small \mathrm{P}\)の座標は\(\small \mathrm{P}(t,-t^2)\)と表せる。
線分\(\small \mathrm{AP}\)を\(\small 1:3\)に内分する点の座標を\(\small \color{#ff6900}{(X,Y)}\)とおくと、内分点の公式から、\(\small X,Y\)は変数\(\small t\)を用いて
\begin{split}
\small X&\small =\frac{t+12}{4}\\
\small \Rightarrow \space t&\small =4X-12 \quad \cdots①\\
\small Y&\small =\frac{-t^2+24}{4} \quad \cdots②\\
\end{split}
①を②に代入することで
\begin{split}
\small Y&\small =\frac{-\color{#ff6900}{t}^2+24}{4}\\
&\small =\frac{-\color{#ff6900}{(4X-12)}^2+24}{4}\\
&\small =-4(X-3)^2+6\\
&\small =-4X^2+24X-30\\
\end{split}
よって、求める軌跡の方程式は、放物線 \(\small \color{red}{y=-4x^2+24x-30\space \cdots \mathbf{【答】}}\).
【問題4】角の二等分線の軌跡(難易度:★★)
2直線 \(\small 2x-y+3=0\)と\(\small x-2y-1=0\)から等距離にある点の軌跡を求めよ。
●点と距離の公式
点\(\small (x_1,y_1)\)と直線 \(\small ax+by+c=0\)の距離\(\small d\)は
$$\small \displaystyle d=\frac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}$$
2直線から等距離にある点の座標を\(\small (X,Y)\)とする。
点\(\small (X,Y)\)と直線 \(\small 2x-y+3=0\)の距離を\(\small d_1\)、点\(\small (X,Y)\)と直線 \(\small x-2y-1=0\)の距離を\(\small d_2\)とすると、点と距離の公式から
\begin{split}
\small d_1& \small =\frac{|2X-Y+3|}{\sqrt{5}}\\
\small d_2& \small =\frac{|X-2Y-1|}{\sqrt{5}}\\
\end{split}
2直線から等距離にあることから、\(\small d_1=d_2\)となるので
\begin{split}
\small \frac{|2X-Y+3|}{\sqrt{5}} & \small =\frac{|X-2Y-1|}{\sqrt{5}}\\
\small \Leftrightarrow \space |2X-Y+3|& \small =|X-2Y-1|\\
\small \Leftrightarrow \space \color{#ff6900}{2X-Y+3}& \small \color{#ff6900}{=\pm (X-2Y-1)}\\
\end{split}
●\(\small |A|=|B|\)の絶対値の外し方は?
絶対値を外すときは、中身がプラスかマイナスかで場合分けが必要なので、まじめに考えると\(\small A\)がプラス or マイナス、\(\small B\)がプラス or マイナスの合計4パターンの組み合わせを考えないといけません。
\begin{split}
&①:\small A=B\\
&②:\small A=-B\\
&③:\small -A=B\\
&④:\small -A=-B\\
\end{split}
ただ、①~④の式をよく見ると、①と④、②と③は式変形すると同じ式になるので、結局①と②だけ考えればOKで、
$$\small A=\pm B$$
となります。
※本問では、\(\small A=2X-Y+3\)、\(\small B=X-2Y-1\)と考えればよい
最後の式は、右辺にプラスマイナスがついているが、
\begin{cases}
\small 2X-Y+3& \small =X-2Y-1\space \cdots①\\
\small 2X-Y+3& \small =-(X-2Y-1)\space \cdots②\\
\end{cases}
の2つの方程式をまとめて書いただけなので、①、②をそれぞれ解いてあげればOK。
①を解くと
\begin{split}
\small 2X-Y+3& \small =X-2Y-1\\
\Leftrightarrow \space \small X-3Y+4& \small =0\\
\end{split}
②を解くと
\begin{split}
\small 2X-Y+3& \small =-(X-2Y-1)\\
\Leftrightarrow \space \small 2X-Y+3& \small =-X+2Y+1\\
\Leftrightarrow \space \small 3X-3Y+2& \small =0\\
\end{split}
よって、求める軌跡は、直線 \(\small x-3y+4=0、3x-3y+2=0 \space \cdots \mathbf{【答】}\)。
【問題5】媒介変数を含む軌跡(難易度:★★★)
円 \(\small x^2+y^2+3ax-2a^2y+a^4+2a^2-1=0\)がある。\(\small a\)の値が変化するとき、円の中心の軌跡を求めよ。
[同志社女子大]
・媒介変数を消去することで、軌跡が求まる。
本来、円の方程式の変数は\(\small x,y\)であり\(\small a\)は定数扱いだが、本問のように定数扱いの値が変化する場合は媒介変数と考えてOK。
求める軌跡である、円の中心座標を\(\small (X,Y)\)とおく。
円の方程式を円の中心座標が分かるように式変形すると
\begin{split}
&\small x^2+y^2+3ax-2a^2y+a^4+2a^2-1=0\\
\Leftrightarrow \space & \displaystyle \small \color{#ff6900}{\left(x+\frac{3}{2}a\right)^2-\frac{9}{4}a^2}+\color{#00A105}{(y-a^2)^2-a^4}+a^4+2a^2-1=0\\
\Leftrightarrow \space & \displaystyle \small \left(x+\frac{3}{2}a\right)^2+(y-a^2)^2=\frac{a^2+4}{4}\\
\end{split}
よって、円の中心座標は、\(\small \displaystyle \color{#ff6900}{\left(-\frac{3}{2}a,a^2\right)}\).
上記の座標が、冒頭においた円の中心座標 \(\small (X,Y)\)と一致することから
\begin{cases}
\small X \displaystyle =-\frac{3}{2}a\space \cdots①\\
\small Y =a^2\space \cdots②\\
\end{cases}
①を変形した式 \(\small \displaystyle a=-\frac{2}{3}X\)を②に代入することで
\begin{split}
\small Y =a^2=\left(-\frac{2}{3}X\right)^2=\frac{4}{9}X^2\\
\end{split}
よって、求める円の軌跡は、放物線 \(\small \displaystyle \color{red}{y=\frac{4}{9}x^2\space \cdots \mathbf{【答】}}\).
【ここで差がつく】軌跡の応用問題
【問題6】2直線の交点の軌跡(難易度:★★★★)
\(\small t\)が実数全体を動くとき、2直線 \(\small \ell_1: tx-y+2t=0、\ell_2: x+ty-2=0\)の交点の座標の軌跡を求めよ。
・除外点は場合分けして、変数が存在するかどうかを確認しよう。
本問では、2直線の連立方程式を解いて交点の座標を
\begin{cases}
\displaystyle \small x= \frac{-2t^2+2}{t^2+1}\\
\displaystyle \small y= \frac{4t}{t^2+1}\\
\end{cases}
と媒介変数表示できる。問題5では、ここから「(変数)=…」の形に式変形したが、今回は式が複雑であり、「\(\small t=\)(\(\small X\)だけの式)or(\(\small Y\)だけの式)…」の形に変形が難しい(変数分離が困難)。
このような場合は、変数分離せずに2直線の式から変数\(\small t\)を消去して軌跡の方程式を求めればOKだが、式変形の過程で\(\small X\)または\(\small Y\)で割り算する場合は、(分母)≠0の除外条件に注意した論証が必要。詳細は【特別講義】を参照。
2直線の交点の座標を\(\small (X,Y)\)とおく。
直線\(\small \ell_2: x+ty-2=0\)より、\(\small ty=-x+2\space \cdots①\).
式①を\(\small t\)について解きたいのだが、\(\small y=0\)の場合は割り算ができないので、場合分けして考える。
[1] \(\small y=0\)の場合
①に代入すると、\(\small 0=-x+2 \space \Leftrightarrow \space x=2\)より、\(\small (x,y)=(2,0)\)を\(\small \ell_1: tx-y+2t=0\)に代入すると、
\begin{split}
&\small 2t-0+2t=0\\
\small \Rightarrow &\small \space t=0\\
\end{split}
よって、実数\(\small t\)が存在するため、\(\small (x,y)=(2,0)\)…②.
[2] \(\small y \ne 0\)の場合
①の式全体を\(\small y\)で割り算することで、
\begin{split}
&\small t=\frac{-x+2}{y}\\
\end{split}
\(\small \ell_1: tx-y+2t=0\)に代入することで
\begin{split}
\small \frac{-x+2}{y}\cdot x-y+2\cdot\frac{-x+2}{y}& \small =0\\
\small x(-x+2)-y^2+2(-x+2)& \small =0\quad \color{#ff6900}{\mathbf{◀両辺を}y\mathbf{倍}}\\
\small \Leftrightarrow \space x^2+y^2&\small =4\quad \cdots③\\
\end{split}
ただし、\(\small y\neq 0\)より、\(\small y=0\)となるときの座標は除外する必要があるため、③で\(\small y=0\)を代入することで
\begin{split}
&\small x^2+0 =4\\
\small \Leftrightarrow \space & \small x =\pm 2\\
\end{split}
よって、軌跡は原点を中心とした半径2の円、ただし、\(\small (x,y)=(-2,0)、(2,0)\)を除く…④。
③、④の結果を合わせることで、求める軌跡は、原点を中心とした半径2の円。ただし、点 \(\small (-2,0)\)を除く。…【答】.
●補足:点\(\small (2,0)\)は除外されないの?
\(\small y \neq 0\)の場合に点\(\small (2,0)\)は除外点になっているが、\(\small y=0\)の場合の方で『実数\(\small t\)が存在する=軌跡に含まれる』ことを確認しているので、全体の軌跡としては、点\(\small (2,0)\)は除外されない。
【徹底解説】軌跡を求める問題の解き方・考え方
【講義1】軌跡とは?
「軌跡」という言葉は、普段の生活ではあまり耳にしない言葉ですね。これは、「与えられた条件のすべてを満たす点の集まりが作る図形」という意味で、要約すると「条件を満たす図形」です。
なので、軌跡を求める問題では、必ず「●●という条件を満たす点の軌跡は?」という定型文になります。条件を満たす点はたくさんあるので、結果的に、直線や円といった図形になるというイメージをまずは持っておきましょう。
【講義2】軌跡が難しい理由は?
多くの高校生が軌跡の分野に苦手意識を持っています。当時の私もそうでした。なんでだろう?とに考えた結果、主な原因は以下の2つではないかと個人的には思っています。
・軌跡の求め方についてちゃんとした解説が少ないから
・たくさんの文字が出てきて混乱しやすいから
1点目は、たとえば2次関数の最大値、最小値の求め方であれば「平方完成して頂点を求める」といった基本方針がありますが、軌跡の問題の基本方針は?と聞かれると意外と答えられない人は多いのではないでしょうか。参考書などでもあまり具体的には書かれてない気がしてます…。
2点目は、実際に問題を解くと求める座標や動点の座標など多くの文字が出てくるため、1点目の解き方が曖昧という点も重なることで、結局何を求めるのか分からなくなり手が止まる…という事態に陥りやすくなります。
この2点の疑問を解消すべく、この後の講義で徹底解説していきます!
【講義3】軌跡を求める基本ステップ
・STEP2:変化する文字(動点や媒介変数)を、関係式を用いて消去することで軌跡が求まる。
この2ステップで基本的にはどんな問題でも解くことができるので、絶対に覚えましょう。
まずSTEP1では求める点の座標を\(\small (X,Y)\)とおきます。ここで重要なポイントなのですが、この大文字の\(\small X,Y\)は、求める軌跡のとある1点の座標(点\(\small (1,2)\)といった具体的な座標)だとイメージしておきましょう。
参考書によっては\(\small (x,y)\)のように小文字でおいている解説もありますが、問題文に出てくる方程式にも\(\small x,y\)の文字が使われているので、慣れていないと混乱のもとになります。そのため、大文字などで区別しておくのがおすすめです。
次にSTEP2では、座標\(\small (X,Y)\)と変数(動点や媒介変数)を関係式で紐づけます。変数は、最終的な軌跡の答えには不要な文字となるため、中点・内分点の公式や問題文中の条件式といった関係式を用いて消去しましょう。
そうすると、\(\small X,Y\)だけの関係式になるので、最後に、\(\small X,Y\)を\(\small x,y\)に置き直したものが求める軌跡の方程式になります。
●なぜ、最後に\(\small x,y\)に置き直すのか?
冒頭に触れた通り\(\small X,Y\)はとある1点の座標であり、変数ではありません。一方で、関係式を満たすように点\(\small (X,Y)\)に数値を入れてあげれば、それらの点は条件式を満たす軌跡になるため、結果的に固定点(\(\small X,Y\))を変数(\(\small x,y\))とみなすことで軌跡の方程式になるわけです。
最後にまとめとして、軌跡を求める基本ステップの全体の流れを確認しておきましょう。
この流れが基本となるので、ぜひ問題の解説と照らし合わせて確認しておきましょう。
【特別講義】除外点が出てくる問題
除外点が出てくる問題の見極め方
大学入試では軌跡の応用問題として除外点がある軌跡の問題がよく扱われます。「求める軌跡はxx。ただし、点\(\small (●,▲)\)は除く」といった解答になる問題ですね。
ではどういった問題のときに除外点の存在に気を付ければよいのでしょうか?
除外点が出てくる問題にはもう一つ特徴があり、それは、変数分離が困難という点です。
変数分離ができる場合
・ \(\small t=X+1\)…①
・\(\small Y=2t^2+1\)…②
→①が「変数\(\small t\)=\(\small X\)だけの式」
→②に単純代入するだけで変数消去ができる
→\(\small Y=2(X+1)^2+1\)となり軌跡が求まる
変数分離が困難な場合
・\(\small Y=tX\)
・\(\small Y=2t^2+t+1\)
→変数\(\small t=\)\(\small X\)のみor\(\small Y\)のみの式に変形が困難…
→変数\(\small t\)を消去する過程で\(\small X,Y\)での割り算が発生しやすい
→除外点がでてきやすい
このように、与えられた条件の変数分離のしやすさによって除外点が出てくるかがある程度わかるので、知っておくとよいでしょう。
論証時の注意事項
除外点が出てくる問題では、必ず場合分けして、変数の存在有無を確認しましょう。
たとえば、式変形の途中で\(\small X\)で割り算する場合は、\(\small X\neq 0\)と\(\small X=0\)に場合分けして論証すればよいでしょう。
特に\(\small X=0\)の場合の論証では、具体的な\(\small Y\)の値が求まるので、\(\small X,Y\)の値から変数の値が存在するか(条件式が成り立つか)を確認してあげます。
最後にそれぞれの場合で求めた答えを合わせたものが求める軌跡になります。
本記事のまとめ
今回は軌跡を求める問題について基礎から応用問題まで解説しました。実践問題を通して、軌跡を求めるための基本ステップは理解できましたか?怪しいなと思った人は、改めて【講義3:軌跡を求める基本ステップ】の流れを確認しておきましょう。
そして最後に今日のポイントをおさらいして終わりましょう。
☆重要Point☆
・求める座標を\(\small (X,Y)\)とおく。
・変化する文字(動点や媒介変数)を、関係式を用いて消去することで軌跡が求まる。
・計算途中で場合分けする場合は、除外点の存在に注意しよう。
本日は以上です。お疲れ様でした!