重複順列や組み分け(部屋割り)の問題は、「区別なし」の条件が加わると一気に難しく感じてしまいます。本記事では、重複順列の基本から、組み分け・部屋割り問題でつまずきやすいポイント、区別の有無による考え方の違いまで丁寧に解説します。例題を通して、実際の解き方をイメージしながら理解を深めていきましょう!
重複順列とは?基本の考え方をやさしく解説
重複順列とは?順列との違い|「重複あり」と「重複なし」
重複順列とは、名前にもある通り、同じものを複数個選んでもよい場合の並べ方のことです。一方で、順列では同じものを複数個選ぶことはできませんでした。このように、同じものを重複して選んでよい並べ方を重複順列、重複なしで選ぶ並べ方を順列と言います。
重複順列と順列の違いを具体例を確認することで、理解を深めていきましょう。例えば、1、2の2個の数字を使って2桁の整数を作るときに、「12」、「21」のようにそれぞれ異なる数字を1つずつ選んで作る場合は順列、「11」、「12」、「21」、「22」のように重複を許して選ぶ場合は重複順列になります。順列と比べると重複順列では、「11」や「22」といった同じものが複数出てくるという点が大きな違いになります。
重複順列の定義と公式(\(\small n^r\)の意味)
同じものを繰り返し選んでもよい並べ方が重複順列と解説しました。ここからは、重複順列の具体的な計算方法と公式について、順列の問題を比較しながら例題を用いて解説していきます。
(2)1、2、3、4、5の5個の数字から同じ数字を繰り返し用いることを許してできる4桁の整数は何個できるか。
(1)は、「異なる」4個の数字を使ってできる4桁の整数とあることから、重複なし(同じ数字を選んではいけない)で選んで並べる問題だと判別できます。そのため、順列として、\(\small {}_5 \mathrm{P}_{4}=\color{red}{120}\)通り…【答】と求めることができます。
一方で、(2)は「同じ数字を繰り返し用いることを許して」できる4桁の整数とあることから、重複あり(同じ数字を選んでもよい)で選んで並べる問題だと判別できます。各桁の数字は1~5の5通りの中から自由に選ぶことができるので、千の位は5通り、百の位も5通り、十の位も一の位もぞれぞれ5通りなので、総数は\(\small 5\times5\times5\times5=\color{red}{625}\)通り…【答】と求めることができます。

順列では重複なしで選ぶので、一度選んだ数字はそれ以降使えません。そのため、千の位は1~5の5通りの数字から選べますが、次の百の位では千の位で選んだ数字以外の4通りから選び、その次の十の位では千の位・百の位で選んだ数字以外の3通りから選ぶ…といったように、1つずつ選べる数字が少なくなります。一方で、重複順列では常に5通りの数字から選べるため、総数の計算方法に違いが出てきます。
例題からも分かる通り、重複順列では常に同じ通り数から選べるため、その通り数を選ぶ回数だけ掛け合わせることで総数を求めることができます。
このことを公式として一般化すると重複順列の公式は次のようになります。
入試や定期テストでは、例題のように重複順列の公式に当てはめるだけの問題はあまり出題されません。そのため、公式に当てはめることを考えるのではなく、「常に同じ選択肢から選べるので、選んだ回数だけ掛け合わせれば総数が求められる」という考え方で解くのがおすすめです。無理に公式ありきで考えると、かえって難しくなります。
組み分け(部屋割り)問題と重複順列の関係
重複順列の考え方を用いた問題として入試や定期テストで頻出なのが「組み分け」の問題です。部屋割りの問題と呼ばれることもあります。
では、そもそも組み分けの問題とはどのようなものだったか確認しておきましょう!
少しわかりにくいので、具体例で解説します。
この問題の場合は、異なる4個のものを異なる2組(部屋XとY)に分ける総数を求める問題となっています。一見すると、重複順列の問題には見えませんが、実は重複順列の考え方を用いて解くことができます。
組み分けの問題は、仕分ける側の視点から解こうとすると非常に難しくなってしまいます。理由は、部屋Xと部屋Yをそれぞれ何人ずつに仕分けるかが決まっていないからです。部屋Xに1人、部屋Yに3人でもよいですし、全員部屋Aに仕分けてもOKです。この自由さがゆえに考えるパターン数が多くなることで、考えるのが難しくなってしまいます。
一方で、部屋を選ぶ側の視点で考えるとどうでしょうか?例えばAさんは部屋Xか部屋Yの2通りから選ぶことができます。Bさんも部屋Xか部屋Yの2通りから選べます。CさんもDさんも同様です。
ここで、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの順に選んだ部屋の名前(X・Y)を1列に並べることを考えます。

するとこの問題は、異なるX、Yの2個の中から重複を許して4個を選んで並べる総数を求める重複順列と考えることができます。
よって、\(\small 2^4=\color{red}{16}\)通り…【答】と求めることができます。
組み分けの問題は「選ぶ側」の視点で捉えると、重複順列として考えやすくなります。4人を部屋Xと部屋Yに分けるとは、各人がどちらか一方の部屋を選ぶことにほかなりません。例題であれば、『A、B、C、Dの4人が部屋Xと部屋Yのどちらか一方を自由に選ぶとき、4人の部屋の選び方は何通りか。』という問題に置き換えることができます。
組み分け問題|区別あり・区別なしの違いと総数の考え方
組み分けの問題でもう一つよく出るのが「区別あり」「区別なし」の問題です。区別ありとは、組に分ける際に「組Aと組Bの2つに分ける」のように分ける組に名前を付けて区別する問題です。逆に、区別なしとは「2つの組に分ける」のように分ける組を区別しない問題です。
ちょっとした違いですが、区別ありか区別なしかで分け方の総数が異なるため、問題を解く上では重要なポイントになります。
では、区別の有無でなぜ分け方の総数が変わるのかについて理由を解説します。例えば、1、2の2つの数字を組Aと組Bの2つに分ける場合を考えます。この場合、「組Aに1、組Bに2」という分け方と「組Aに2、組Bに1」という分け方は、異なる分け方になります。理由は、どちらの組にどの数字があるかが異なるからです。
一方で、1、2の2つの数字を単に2つの組に分ける場合を考えます。先程との違いは組にA、Bといった名前がない、つまり組の区別がないというという点です。この場合、「1と2」と分ける分け方と「2,1」と分ける分け方はどちらも「1と2」が別の組に分かれる分かれ方になるため同じ分け方になります。

このように、区別ありの場合では異なる分け方になるものが区別なしの場合は同じ分け方になります。そのため、組の区別があるかないかで分け方の総数が異なる点に注意しましょう。
・組に名前がない(2組に分ける etc…)→区別なし
重複組合せと重複順列との違いとは?
重複順列や組み分け(部屋割り)は、重複を許して選んで並べる場合の数を扱いますが、似た考え方に「重複組合せ」があります。重複組合せは、重複を許して選ぶ場合の総数を考える際に用いられます。
順序を区別しない数え方を身につけることで、入試で頻出の問題にも対応できるようになります。両者の違いと使い分けをセットで理解することが大切です。
詳しくは以下の記事で解説しているので、あわせて確認することでより理解が深まります。
重複順列の基礎問題と解き方
整数を作る問題(4桁以下の整数・0を含む)
(1)4桁の整数
(2)4桁以下の整数
・各桁に選べる数字の通り数を考えればOK。ただし、最高位の桁に「0」は選べない点に注意。
・(2)は(1)と同様に3桁の整数、2桁の整数、1桁の整数と場合分けして求めると大変なので、0も含めて自由に並べ先頭の0を無視すると考えることで簡単に計算できます(詳しくは「補足」を参照)。
千の位には0以外の3通りの数字が選べ、百の位には同じ数字を何回も選んでよいため、0~3の4通りの数字が選べます。十の位も一の位も同じく4通りの数字が選べることから、総数は、\(\small 3\times 4\times 4\times 4=\color{red}{192}\)個…【答】。
4種類の数字を重複を許して並べる総数は、各桁4通りずつ選択肢を4桁分選ぶので、\(\small 4^4=256\)通りとなります。この中で、たとえば、「0012」は「12」のように、先頭に連続する0を取り除いた整数と見なすことで4桁以下の整数と対応させることができます。ただし、すべての桁が0の場合(0000)は「0」を表しますが、正の整数は1以上であることから、総数から除く必要があります。
よって、4桁以下の整数の個数は、\(\small 256-1=\color{red}{255}\)個…【答】となります。
組み分け(部屋割り)問題|区別ありの考え方
組A・組Bのように区別して分ける問題の解き方
・部屋を選ぶ側の視点で考えるのがコツ。
・空き部屋があるパターンも含めて自由に分けた場合の総数を求めた後に、いずれかの部屋が0人になる分け方を除外する方針で考えるのが定石。
まずは、空き部屋が出る場合も含めて分け方の総数を求めていきます。この場合、4人はそれぞれ部屋A、B、Cの3通りの選択肢の中から入る部屋を選べばよいので、3通りの選択肢を4人分かけ算することで、\(\small 3^4=81\)通り…①と求められます。
問題で求めたいのはどの部屋も1人以上(空き部屋がない)になる分け方なので、いずれかの部屋が空き部屋になるような分け方を求めていきます。
[1] 空き部屋が1つの場合
空き部屋が1つで、残り2部屋に4人が入る分け方を考えます。空き部屋の選び方はA・B・Cの3通りです。各場合について、4人は残り2部屋のいずれかを選ぶため、分け方は\(\small 2^4=16\)通りあります。ただし、全員が同じ部屋に入るともう一方の部屋も空いてしまう[*1]ため、その2通りを除くと、各部屋に1人以上が入る分け方は\(\small 16-2=14\)通りです。
したがって、空き部屋が1つの場合の分け方は、\(\small 14\times 3=42\)通り…②となります。
[2] 空き部屋が2つの場合
空き部屋が2つで、残り1部屋に4人が入る分け方を考えます。空き部屋の組合せは(A,B)、(A,C)、(B,C)の3通りです。各場合について、空き部屋が2つになるためには、4人全員が同じ1つの部屋を選ぶ必要があるので、その分け方は1通りです。
したがって、分け方は\(\small 1 \times 3=3\)通り…③です。
[3] 空き部屋が3つの場合
全部屋が空き部屋にはならないので、0通りです。
以上の②,③を合計した\(\small 42+3=45\)通りが空き部屋が出てしまう分け方です。
よって、①で求めた全パターン数から45通りを除外することで、求める通り数は\(\small 81-45=\color{red}{36}\)通り…【答】となります。
組み分け(部屋割り)問題|区別なしの考え方
区別なく2つに分ける問題の解き方
・まず組を区別した場合の分け方を求めた後に区別しない場合を考えると解きやすい。
仮に分ける組を組A・組Bと区別すると、異なる6枚のカードそれぞれに対して組Aまたは組Bの2通りの選択肢があるため、分け方は\(\small 2^6=64\)通りです。このうち、すべてが組Aまたは組Bに入る場合の2通りを除くと、\(\small 64-2=62\)通りとなります。
片方の組に6枚全部のカードが集まってしまうと2組に分けられていない状態になるため、「各組に少なくとも1枚以上は入れる」といった条件は必ず満たす必要がある点に注意。
今回求めたいのは組を区別しない場合なので、これを2で割り、\(\small 62÷2=\color{red}{31}\)通り…【答】。
条件付きの組み分け問題の解き方
別々の箱に入れる問題(条件付き)の考え方
・3つの箱をカード1が入った箱、カード2が入った箱、残りの箱として固定する。この3つの箱に3、4、5の3枚のカードをどのように入れるかを考えればよい。
・はじめは残りの箱が空箱になるかどうかは気にせず自由に分けて、そのあとで残りの箱が空箱になる分け方の総数を除外する方針で考える。
カード1が入った箱を箱A、カード2が入った箱を箱B、残りの箱を箱Cとする [*1]。
箱を区別しない問題で、箱に名前を付けてよいのか疑問に思う人もいるかもしれません。結論から言うと、便宜上名前を付けること自体は問題ありません。ただし、「箱Aにカード2、箱Bにカード1を入れる場合」と「箱Aにカード1、箱Bにカード2を入れる場合」は、「カード1と2を別々の箱に分ける」という点では同じ分け方として扱う必要があります。
そのため、箱を区別しない問題では、箱に付けた名前は固定し、入れ替えを同一とみなすことに注意しましょう。
A、B、Cの3つの箱にカード3、4、5を入れる入れ方は、3枚のカードぞれぞれに対して入る箱が3通りあるので、\(\small 3^3=27\)通りです。
このうち、箱Cに1枚もカードが入らない分け方は、3枚のカードが箱Aか箱Bに入る場合なので、3枚のカードそれぞれが2通りの選択肢があると考えると \(\small 2^3=8\)通りです [*2]。
よって、27通りから箱Cが空箱になってしまう8通りを除いた \(\small 27-8=\color{red}{19}\)通り…【答】。
本記事のまとめ
本記事では、重複順列の基本から組み分け(部屋割り)問題への応用までを解説しました。重複順列は「常に同じ選択肢の中から選べる」と考えることで、選択肢を選ぶ回数だけかけ算することで総数を求められるのが基本です。
また、組み分け問題は「分ける」ではなく「それぞれがどこに入るかを選ぶ」と考えることで、重複順列として解くことができることがポイントになります。特に重要なのが、組を区別するかどうかです。区別ありの場合は、そのまま重複順列で数える、区別なしの場合は同じ分け方の重複を除くことで総数を求めることができます。この違いを意識するだけで、多くの問題に対応できるようになります。
さらに、条件付きの重複順列の問題では「条件部分をはじめに確定させてから、残り部分を重複順列で数える」ことがポイントです。
重複順列と組み分け(部屋割り)の考え方は、入試や定期テストでも頻出の重要テーマです。今回の内容をもとに、「区別あり・なし」と「選ぶ視点」を意識して、さまざまな問題に挑戦してみてください。
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順列に関する理解をさらに深めたい人は、他の記事もぜひ参考にしてください。
・【順列の応用】領域の色塗分け問題の解法
・円順列と数珠順列|隣り合う・向かい合う問題を解き方をわかりやすく解説
・【重複組み合わせ】整数解、サイコロ問題の解き方、重複順列との違い
今回は以上です。お疲れさまでした!

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