確率を極めよう(条件付き確率)

本記事では、条件付き確率の解き方のコツについてわかりやすく解説していきます。苦手意識がある人はぜひ最後まで読んでみてください!

 本記事はこんな人におすすめ
  • 条件付き確率が苦手で解き方が分からない…
  • 問題文が複雑でいつも手が止まってしまう…
  • 条件付き確率の面白い問題が解きたい!
 本記事で扱う問題
基本問題[岐阜薬大 類題]
集団Aでは4%の人が病気Xにかかっている。病気Xを診断する検査で、病気Xにかかっている人が正しく陽性と判定される確率は80%、病気Xにかかっていない人が誤って陽性と判定される確率は10%である。集団Aのある人がこの検査を受けたとき、次の確率を求めよ。
(1)その人が陽性と判定される確率
(2)陽性と判定されたとき、その人が病気Xにかかっている確率
応用問題
3つの部屋がある。ある部屋は女性2名、ある部屋は男性2名、ある部屋は男女が1名ずついることが分かっている。今、ある部屋をノックしたところ、部屋の中から女性の声が聞こえたとき、男性が出てくる確率を求めよ。
(参考)小針 晛宏(こはり あきひろ)著『確率・統計入門』岩波書店
 本記事のレベル
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    難しい
  • 暗記/理解
    暗記重視
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    理解重視
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【解説編】条件付き確率とは

問題を解く前に簡単に条件付き確率について復習しておきましょう。

1. そもそも条件付き確率とは?

「条件が付いた」確率ということは、名前からもわかると思いますが、具体的には以下のような確率のことを意味しています。

  • 製造品が不良品だった時に、機械Aにて作られた確率
  • 選んだトランプが絵札であることが分かっているときに、マークがスペードである確率
  • 野菜を買った時に、その野菜が千葉県産である確率

このように、「~のとき」といった条件が課せられた確率のことを「条件付き確率」といいます。

2. 解き方のコツ

条件付き確率を求めるときによくあるつまずきポイントが「どうやって立式すればいいかわからない」です。ここでは、そんな人向けに立式のコツを教えます。それはズバリ、「表で状況を整理しろ!」です。

2.1. 表を使って状況を整理

条件付き確率の問題の多くは、問題文が「条件Aのとき、Bが起こる確率を求めよ。」という定型文です。前章で紹介した「製造品が不良品だった時に、機械Aにて作られた確率」であれば、条件A=製造品が不良品だった、B=機械Aにて作られた、に相当します。

この場合は、以下のような表を作ってそれぞれの確率を埋めていきます。

表の縦に条件A」、「横に求めるものB」を置いて表にするのがおすすめです。

2.2. 表をもとに公式にあてはめる

表さえ書いてしまえばあとは公式を使って機械的に求められます

条件付き確率の求め方
 $$(\text{条件付き確率})=\frac{\color{red} {\text{AかつBが起きる確率}}}{\color{blue} {\text{Aが起きる確率}}}$$

条件Aが分母にきて、その中で機械Aで不良品が作られた(AかつB)という赤色部分を分子に持ってくれば求めることができます。

では、ここで解説した解き方のコツを踏まえて、問題を解いていきましょう!

【問題編】条件付き確率の問題を解いてみよう

【基本問題】原因の確率

基本問題[岐阜薬大 類題]
集団Aでは4%の人が病気Xにかかっている。病気Xを診断する検査で、病気Xにかかっている人が正しく陽性と判定される確率は80%、病気Xにかかっていない人が誤って陽性と判定される確率は10%である。集団Aのある人がこの検査を受けたとき、次の確率を求めよ。
(1)その人が陽性と判定される確率
(2)陽性と判定されたとき、その人が病気Xにかかっている確率
 解答

(1)の解答
(2)の解答


複雑な状況は表を使って状況を整理しろ!


 (1)の解説

表を用いた状況整理

とにもかくにも、まずは状況が複雑なので表を使って情報を整理します。今回は「陽性/陰性」×「病気Xに感染/非感染」で表を組んでみましょう

問題文の情報から上記のような感じで整理ができます。赤字が問題文中の情報を埋めた箇所青字が問題文の情報から求めた(全体100%から引き算)情報です。

表ができたら本題の陽性と判定される確率ですが、表から確率の重み付き計算で求めることができます。

(補足)確率の重み付き計算とは

確率の重み付き計算とは?
例えば、クラスでテストが100点だった人が4人、50点だった人が6人だったとしましょう。この時平均点は、
$$\frac{\text{合計点数}}{\text{全体人数}}=\frac{\text{4人} \times \text{100点}+\text{6人} \times \text{50点}}{\text{10人}}$$
で求められますね。
ここで、上記の式を少し変形して
$$\color{red}{\frac{\text{4人}}{\text{10人}}}\times \text{100点}+\color{red}{\frac{\text{6人}}{\text{10人}}}\times \text{50点}$$
とします。分母の分数をそれぞれ分離させました。すると、赤字の部分はクラス全体に占める100点を取った人と50点を取った人の割合を表していますね。つまりこの式は、
$$\text{100点を取った人の割合}\times \text{100点}+\text{50点を取った人の割合}\times \text{50点}$$
で平均が求まることを示しています。これを、それぞれの得点にその得点を取った人の割合(重み)を掛け算することから、「重み付き計算」といいます。

最後は確率計算

重み付き確率計算から、求める確率は陽性率80%、10%のぞれぞれに感染者の割合と非感染者の割合を掛け算して足しこめばよいので、

$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\frac{4}{100} \times \frac{80}{100}+\frac{96}{100} \times \frac{10}{100}\\
&=\frac{4}{100} \times \frac{8}{10}+\frac{96}{100} \times \frac{1}{10}\\
&=\frac{32}{1000}+\frac{96}{1000}\\
&=\frac{128}{1000}\\
&=\frac{16}{125}\\
\end{split}
\end{equation}
$$

(解答)
$$\frac{16}{125}$$

 (2)の解説

ここで、条件付き確率の求め方を改めておさらいしておきます。

条件付き確率の求め方
条件Aのとき、Bが起こる確率は
 $$(\text{条件付き確率})=\frac{\color{red} {\text{AかつBが起きる確率}}}{\color{blue} {\text{Aが起きる確率}}}$$

今回の問題に当てはまるならば、「条件A=陽性と判定された」「B=病気Xにかかっている(感染している)」なので

$$(\text{求める確率})=\frac{\color{red} {\text{陽性かつ感染している確率}}}{\color{blue} {\text{陽性と判定される確率}}}$$

となります。これは、下表を見るとわかりやすいのですが、青枠が条件付き確率の分母、赤枠が分子に対応しています。

条件付き確率の公式は一見すると複雑ですが、陽性の人のうち、感染している人がどのくらいなのか?を求めるので、表を描くと感覚的にもすんなりと理解できると思います。

では、最後は公式にあてはめて解いていきます。青色の分母は(1)で求めた確率であることに注意して

$$
\begin{equation}
\begin{split}
&\frac{\dfrac{4}{100}\times\dfrac{80}{100}}{\dfrac{16}{125}}\\
&=\frac{4}{100}\times\frac{80}{100}\times\frac{125}{16}\\
&=\frac{1}{4}\\
\end{split}
\end{equation}
$$

(解答)
$$\frac{1}{4}$$

【応用問題】男性が出てくる確率

応用問題
3つの部屋がある。ある部屋は女性2名、ある部屋は男性2名、ある部屋は男女が1名ずついることが分かっている。今、ある部屋をノックしたところ、部屋の中から女性の声が聞こえたとき、男性が出てくる確率を求めよ。
(参考)小針 晛宏(こはり あきひろ)著『確率・統計入門』岩波書店
 解答

解答はこちら

 解説

今回求める確率は、

$$(\text{求める確率})=\frac{\color{red} {\text{女性の声がするかつ男性が出てくる確率}}}{\color{blue} {\text{部屋の中から女性の声がする確率}}}.$$

部屋の中から女性の声がする確率

まずは、求める確率の分母である女性の声がする確率を求めます。便宜上、女性のみの部屋を「部屋A」、男性のみの部屋を「部屋B」、男女がいる部屋を「部屋C」として、縦に女性の返事と男性の返事がくるパターンを、横に返事をした人が誰かを表形式にまとめます。

この表で女性の返事が返ってくる確率は、それぞれの部屋A、B、Cが選ばれる確率が\(\small \frac{1}{3}\)であることを考慮して、

$$
\begin{equation}
\begin{split}
\color{blue} {\text{(女性の返事が聞こえる確率)}}&=\frac{1}{3} \times 1+\frac{1}{3} \times 0+\frac{1}{3} \times \frac{1}{2}\\
&=\frac{1}{3}+\frac{1}{6}\\
&=\frac{1}{2}
\end{split}
\end{equation}
$$

女性の返事が聞こえるかつ男性が出てくる確率

次に、女性の返事が聞こえるかつ男性が出てくる確率を求めるために、もう一つ別の表を作ります。今回は、「出てくるのが男性か女性か」と「各部屋の誰が出てくるか」で表を組みます。問題文に合致したパターンは下表の赤色部分になります。

ここで注意としては、女性の返事が聞こえてきていることが確定しているので、部屋Bの男性が返事をする確率は0(灰色の部分)となります。

$$
\begin{equation}
\begin{split}
\color{red} {\text{(女性の返事かつ男性が出てくる確率)}}&=\frac{1}{3} \times \frac{1}{2}\\
&=\frac{1}{6}
\end{split}
\end{equation}
$$

よって、求める確率は、

$$
\begin{equation}
\begin{split}
(\text{求める確率})&=\dfrac{\quad \dfrac{1}{6}\quad}{\dfrac{1}{2}}\\
&=\dfrac{1}{3}
\end{split}
\end{equation}
$$

(解答)
$$\frac{1}{3}$$

まとめ

今回は条件付き確率の求め方を解法のコツとともに解説しましたがいかがでしたか?

図表で状況を整理して公式に当てはめて解くことで、ほとんどの問題は解くことができるので他にもいろいろな問題を解いて実践演習してみましょう。

本日はここまでです。お疲れさまでした!

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